両親の依頼で、ひきこもりがちだった当時19歳のサトルさん(21)=仮名=を入寮させた「ワンステップスクール湘南校」の廣岡政幸校長が本紙取材に答えた。

 -「急な来訪で説得され、恐怖を感じて抵抗する気力をなくし、自宅を連れ出された」と言うが。

 「まず身分を明かし、訪問の経緯を伝えた。保護者が入寮を強く希望し、彼に自殺の危険性があるため放置できないことも丁寧に説明した。逃げるのを警戒し、出入り口をふさぐことはしていない。彼は、最終的に『大学進学を目指し、やり直したい』と言った」

 「子どもの心理として、立場が不利だから怖い思いをしたと本人が話すことは否定しないが、脅して連れ出したわけではない。そこまで追い込んだなら『進学を目指す』とは言わない」

 -寮内のカメラは。

 「防犯目的で廊下など共用エリアのみ。個室などにはない。元々は社員寮や学生寮だった施設で、出入り口は日常的に開放されている。洗濯、たばこ、散歩などで自由に出入りできる」

 -入寮後スマホや現金、免許証は返さないのか。

 「ゲーム依存の生徒も多く、寮内で個人の通信機器は原則使わない約束。現金はそもそも親が小遣いとして本人に渡しているもので、本人のお金ではない。僕らも親からお金を預かる以上、全て帳簿を付け、管理する。免許証も貴重品として預かり、必要な時は渡す」

 -プログラムは自習や運動などが主なのか。

 「規則正しい生活習慣を身に付け、自立生活ができるよう訓練している。集中力を高める訓練のほかスポーツやボランティア、農業などがあり、臨床心理士のカウンセリングもある」

 -逃げ出す生徒がいる。

 「今は働き、自立した生徒の方が圧倒的に多い。卒業生もたくさんいる」

 「一部の悪質業者のように法外な金額を求めることはなく、料金表も示し、各家庭の状況にコミットする。不足分は企業の援助や講演会の謝礼などでまかなっている。民間の僕らにできる限りのことはやるが、全員助けることはできない」

 「本来は国がやるべきこと。ひきこもりがこれほど増えたのは国の社会システムの不備だ。関わった親は誰一人、子どもを排除する目的で依頼していない」