沖縄タイムス社は2020年の県内十大ニュースを選定した。新型コロナウイルスの感染拡大で、県民生活が影響を受け続けた1年となった。県が緊急事態を宣言し、県民の生活や行動が制限された。県経済をけん引する観光も観光客が激減し、経済面でも打撃となったほか、コロナ関連支援制度を巡る不正が広範囲に行われたことも発覚した。

観光客の激減で人通りがなく閑散とした国際通り=21日、那覇市

県知事からの渡航自粛要請もあり旅客が少ないゴールデンウイークの到着ロビー=5月2日、那覇空港

当選確実の報を受け、バンザイ三唱で喜ぶ喜友名智子氏(中央)と支持者=6月7日午後10時50分、那覇市安里のひめゆりピースホール

支持者と共にバンザイ三唱で初当選を喜ぶ翁長雄治さん(中央)=6月7日午後10時23分、那覇市真嘉比の選挙事務所

「カクテルパーティー」で芥川賞を受賞し、仲間たちと喜びを分かち合った大城立裕さん(中央)=1967年7月21日、那覇市

インタビューで自身の体験を語る大城立裕さん=2014年、那覇市内のホテル

米軍関係の事件・事故多発を受け抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した沖縄市議会=12月3日、同議会議場

豚熱が発生した養豚場から殺処分した豚を運び出す作業員=1月9日、うるま市(小型無人機で撮影)

持続化給付金の100万円が振り込まれた大学生の通帳(画像を一部加工しています)

8回に登板し、今季初勝利の西武・平良=メットライフドーム

一般公開が再開され、火災の爪痕や再建作業を見学する来場者=20年6月12日

空手の全日本選手権個人形男子で、大会新記録となる9連覇を飾った喜友名諒=12月13日、日本武道館(我喜屋あかね撮影)

沖縄全戦没者追悼式で献花する参列者。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一般の参加はできず、招待された関係者のみの参加となった=6月23日、糸満市摩文仁・平和祈念公園

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(米国立アレルギー感染症研究所提供)

観光客の激減で人通りがなく閑散とした国際通り=21日、那覇市 県知事からの渡航自粛要請もあり旅客が少ないゴールデンウイークの到着ロビー=5月2日、那覇空港 当選確実の報を受け、バンザイ三唱で喜ぶ喜友名智子氏(中央)と支持者=6月7日午後10時50分、那覇市安里のひめゆりピースホール 支持者と共にバンザイ三唱で初当選を喜ぶ翁長雄治さん(中央)=6月7日午後10時23分、那覇市真嘉比の選挙事務所 「カクテルパーティー」で芥川賞を受賞し、仲間たちと喜びを分かち合った大城立裕さん(中央)=1967年7月21日、那覇市 インタビューで自身の体験を語る大城立裕さん=2014年、那覇市内のホテル 米軍関係の事件・事故多発を受け抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した沖縄市議会=12月3日、同議会議場 豚熱が発生した養豚場から殺処分した豚を運び出す作業員=1月9日、うるま市(小型無人機で撮影) 持続化給付金の100万円が振り込まれた大学生の通帳(画像を一部加工しています) 8回に登板し、今季初勝利の西武・平良=メットライフドーム 一般公開が再開され、火災の爪痕や再建作業を見学する来場者=20年6月12日 空手の全日本選手権個人形男子で、大会新記録となる9連覇を飾った喜友名諒=12月13日、日本武道館(我喜屋あかね撮影) 沖縄全戦没者追悼式で献花する参列者。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一般の参加はできず、招待された関係者のみの参加となった=6月23日、糸満市摩文仁・平和祈念公園 新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(米国立アレルギー感染症研究所提供)

 豚熱(豚コレラ)の発生が33年ぶりに確認され、約1万2千頭の豚が殺処分された。6月の県議選では、玉城デニー県政の与党が過半数を獲得したが、野党・中立と議席が伯仲し、厳しい県政運営となっている。

 戦後の沖縄文学をけん引してきた芥川賞作家の大城立裕さんが95歳で亡くなった。スポーツではプロ野球、パ・リーグの新人賞に西武の平良海馬投手が県勢で初受賞。空手の喜友名諒は、全日本選手権で史上最多の9連覇を達成、来夏の東京五輪での金メダルへ期待が膨らんだ。

 昨年正殿が焼失した首里城は、26年の再建に向け動きが本格化。基地問題では米軍絡みの事件・事故が相次ぎ、名護市辺野古の新基地建設では土砂投入が続けられた。

【1位】県、2度の緊急事態宣言

 新型コロナウイルス感染症は県内でも猛威を振るい、住民生活や社会経済活動を直撃した。県は2度にわたり緊急事態宣言を出し、休業や外出自粛などを要請。イベントは軒並み中止になった。

 県内感染の初確認は2月14日。集団感染の起きたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスが那覇市に寄港した約2週間後だった。

 全国的な感染状況の悪化で3月上旬、県立高校や多くの公立小中学校が臨時休校に。卒業式・入学式の中止、規模縮小が相次いだ。

 4月に入ると県内の感染が広がり、県は緊急事態宣言を発出。カラオケボックスなど遊興施設、大学、運動・遊技施設など7業態に休業を、県民らには不要不急の外出自粛や県をまたいだ移動自粛を求めた。

 イベント開催も揺れた。「慰霊の日」関連の追悼式などは規模縮小や中止が相次いだ。中高生の部活動の大会も中止が続いた。プロスポーツでは琉球ゴールデンキングスやFC琉球のシーズンが中断したり、無観客試合になったりした。

 夏は「第2波」が到来し感染状況は全国最悪レベルになった。7月には米軍基地内で大規模感染が発生。市中では「夜の街」を起点に感染が広がった。県は8月、緊急事態宣言を出し、那覇市松山のキャバレーなどに休業などを要請した。

 10月以降も、新規感染者数の発生は高止まりが続き、12月19日現在の累計感染者は4946人。県は那覇、浦添、沖縄の3市の飲食店などに28日まで時短営業を要請している。

【2位】観光客大幅減 経済に打撃

 新型コロナウイルスの拡大で、観光客が大幅に減少した観光業界を中心に県経済は大きな打撃を受けた。

 3月26日、那覇空港第2滑走路(全長2700メートル)が開業した。ただ、15路線週230便あった沖縄発着の国際線は3月24日に全線運休。外国人客は4月以降、ゼロが続く。

 国内需要も大幅に減退。2020年度上半期(4~9月)の入域観光客数は前年同期比81・8%(437万5500人)減の97万3100人だった。減少数、減少率は過去最大で、外国人客が100%減るのは「日本復帰後初」となるなど、記録的な減少数が続いた。

 県は6月から県内旅行需要を喚起する「おきなわ彩発見キャンペーン」を、国は7月下旬から観光支援策「Go To トラベル」などを打ち出し、県内・国内需要を喚起したが、大手リゾートホテルのみに恩恵が偏るといった制度設計の甘さや、感染者数の増加で急きょ一部地域が除外されるなど、混乱も招いた。

 沖縄観光・経済振興に大きな追い風となると期待されていた第2滑走路。開業から半年間の航空機の発着回数は、前年同期比44・6%減の4万5004回と、効果はまだ見えていない。

【3位】豚熱、33年ぶりに発生

 うるま市の養豚場で1月8日、県内で33年ぶりに豚熱(CSF)の発生が確認された。沖縄市にも感染が広がり、3月までに計10農場で計1万2千頭余りの豚が殺処分された。感染農場では、白い防護服を着けた作業員が消石灰を散布し、殺処分の作業が深夜まで続いた。豚熱の影響を受けた農家の経営は逼迫(ひっぱく)した。

 国はウイルスが混入した非加熱の食品残さを餌に与えていたことが感染要因とみて、飼養衛生管理基準の不徹底を指摘した。

 4月にうるま市の発生農場から3キロ圏内の移動制限区域が解除となり、玉城デニー知事が豚熱発生の「収束」を宣言した。

 県は感染予防のための1回目のワクチン接種を5月に終了。短期間で接種を終えるため、接種費用は県が負担した。在来の固有種アグー豚を保護するため、久米島へ隔離した。

 県は、農場に対する国からの手当金支給の作業を進めている。12月18日時点で、7農場への手当金は支払い済み。1農場は年内支払い予定で、残り2農場は調整中。県は豚熱発生後の対応を検証する「豚熱防疫対応検証委員会」を設置。本年度内に「豚熱防疫対応マニュアル」を策定する。

【4位】県議選 与党議席減らす

 6月7日の県議選は、定数48に対し与党25、野党・中立23と伯仲し、与党は改選前から1議席減らしたものの、辛くも過半数を維持した。ただ、自民による与党会派の切り崩しで与野党中立の構図は不安定に。玉城デニー知事提案の議案が否決されることも予想され、厳しい県政運営を強いられる結果となった。

 13から19に大幅に議席を伸ばした自民は、野党・中立勢力を主導し与党会派おきなわから議長を選出。4常任委員会のうち3委員長ポストを獲得するなど議会での存在感を高めた。

 一方、9月定例会では、与党が提案予定だった名護市辺野古の新基地建設断念を求める決議案を可決の見通しが立てられず取り下げる事態に。逆に与党内で意見が割れる米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添ふ頭地区への早期移設を求める決議は賛成多数で可決されるなど、与党は主導権を握れず苦心している。

 自民は2年後の知事選での県政奪還に向け玉城県政の追及を強める構えで、知事は難しいかじ取りを迫られている。

【5位】大城立裕さん死去 

 沖縄の歴史と文化を掘り起こし、沖縄のアイデンティティーを生涯問い続け、戦後沖縄の文学をけん引した作家の大城立裕さんが10月27日、95歳で死去した。

 日本復帰前の1967年に、日米間で揺れ動く沖縄の姿を象徴的に描いた小説「カクテル・パーティー」で、沖縄出身者初の芥川賞を受賞。「小説琉球処分」などの小説のほか、「世替りや世替りや」などの戯曲、新作組踊など幅広い分野で数多くの作品を発表した。2015年には短編小説「レールの向こう」で川端康成文学賞、2019年に井上靖記念文化賞を受賞するなど晩年まで旺盛に執筆活動を続けた。

 1925年、中城村生まれ。戦時中に中国・東亜同文書院に留学。県立博物館館長などを歴任し、国立劇場おきなわの誘致にも尽力した。2015年の辺野古移設に反対する沖縄県民大会では共同代表を務めた。

【6位】米軍絡み 事件・事故相次ぐ

 2020年も米軍関係者の事件事故が相次いだ。特に10月以降は強盗や傷害、器物損壊、酒気帯び運転など飲酒絡みの事案が頻発。地元の市町村議会で綱紀粛正などを求める抗議決議が出され、「異常事態」との声が上がった。背景として9月に米軍が新型コロナウイルス感染対策で禁止していた基地外での飲酒を一部緩和したことなどが挙げられた。

 一方、名護市辺野古の新基地建設現場は、沖縄防衛局が埋め立て海域に土砂投入を始めて2年を迎えた。海側から2隻同時に土砂を陸揚げする新たな運用が始まるなど、国は工事を加速。玉城デニー知事は県の試算で全体の進捗(しんちょく)率は3・8%とし、「後戻りできない状況とは全く考えていない」とけん制した。

 辺野古を巡る県と国の争いは、来年も新たな法廷闘争に発展する可能性が高い。これまでの9訴訟で県の勝訴はなく、工事を止める打開策は見いだせていない。

【7位】不正受給 県内で広がる

 新型コロナウイルスの影響で減収となった個人事業主らを対象とした国の持続化給付金で、申請書類にうその職業などを書いて現金をだまし取る不正受給が県内でも相次いだ。11月に入り沖縄タイムス社元社員や税理士事務所関係者、モデルが詐欺容疑で逮捕され、県警の捜査が続いている。

 9月以降、不正受給が報道されると県警や県消費生活センターに給付金の自主返還の相談が多く寄せられた。主婦や学生、会社員などこれまで普通に生活を営んできた人たちも不正に手を染める形で問題はさまざまな層に及んだ。友人や親族から「もらえる給付金」と声を掛けられ安易に手を出してしまうケースが多くみられた。

 県警は不正と知りながら申請者を募り、多額の申請手数料を徴収するといった悪質性に摘発対象を絞り、年明け以降も捜査を継続する構えだ。

【8位】西武・平良 県勢初の新人王

 石垣市出身でプロ野球西武3年目の平良海馬投手(21)=八重山商工高出=が12月17日、パ・リーグ新人王に選出された。県出身選手の新人王受賞はセ・パ両リーグ通じて初めての快挙となった。

 平良は18歳だった2018年にドラフト4位で入団。19年から中継ぎに定着し、今季は最速160キロの直球と多彩な変化球に磨きをかけ、リーグ最多タイの54試合に登板した。1勝0敗1セーブでリーグ2位の33ホールドを記録。防御率は1・87と抜群の安定感を見せた。

 昨年オフにシアトル・マリナーズの菊池雄星投手から変化球のこつを学び、春季キャンプで特訓。代名詞の剛速球に加え、大きく変化するスライダーやカットボールでも空を切らせて62三振を奪った。記者投票では楽天のルーキー小深田大翔内野手と19票差の僅差で新人王争いを制した。

【9位】首里城の再建が本格化

 昨年10月31日に火災で焼失した首里城正殿を2026年に再建する工程を今年3月に政府が決め、工事に向けた動きが本格化した。県警と那覇市消防局は火災原因を特定できなかった。

 2月に工事が始まり、6月に火災現場である有料区域に一般客が入場できるようになった。正殿の基壇の遺構や、焼け残った大龍柱を見学できるようにするなど「見せる復興」の第1段階が進んでいる。

 「首里城復元に向けた技術検討委員会」は、正殿の防火・防災対策を強化することや、材木の一部に、琉球王国の建物に使われた県産のオキナワウラジロガシを使うことを決めた。

 周辺地域住民によるまちづくりや、大龍柱の向きの議論も活発になっている。

【10位】喜友名 全日本V9

 空手形男子の喜友名諒(30)=劉衛流龍鳳会=が12月13日に東京・日本武道館であった全日本選手権で優勝し、史上初の大会9連覇を達成した。また、国際大会プレミアリーグで過去最多となる19個の金メダルを獲得したとして、ギネス世界記録にも登録された。

 全日本選手権決勝ではアーナンを演舞して28・74点を獲得。コロナ禍の自粛期間中に身に付けた蹴りや突きの力強さを存分に発揮し、2位選手に1・14点差をつける貫禄の勝利だった。

 喜友名は来夏の東京五輪の金メダルが有力視されている。全日本選手権の優勝インタビューで「課題を佐久本嗣男先生と修正し、仲間と稽古して、来年の五輪は優勝する」と宣言。30点満点での五輪優勝を狙っている。

【次点】戦後75年 継承に課題

 戦後75年の今年、沖縄戦犠牲者らを悼む関連行事は新型コロナの影響で中止・延期や規模縮小に追い込まれた。「慰霊の日」の沖縄全戦没者追悼式では県が当初示した国立沖縄戦没者墓苑への会場変更に市民が反発。従来会場に戻ったが、追悼の在り方が問われた。

 高齢化で戦争体験者が県人口の1割に減る中、記憶の継承が課題に。平和教育の現場では戦跡の活用やガイド育成に加え、リモートに挑むなど試行錯誤が続く。

 保存・公開を求める声が高まる第32軍司令部壕を巡っては、県は検討委員会設置を決定。本格調査に向けた資料収集を始めている。

【2020県内十大ニュース】

(1) 新型コロナ感染拡大で緊急事態に

(2) コロナ禍 観光激減 経済に打撃

(3) 33年ぶりの豚熱発生 大量殺処分

(4) 県議選、与党が辛くも過半数維持

(5) 大城さん死去 沖縄文学をけん引

(6) 米軍絡みの事件・事故 続発

(7) コロナ支援制度で不正受給広がる

(8) 西武・平良投手 県勢初の新人王

(9) 首里城火災から1年 再建本格化

(10) 喜友名 空手全日本9連覇の偉業

次点 戦後75年 記憶の継承課題に 

【沖縄タイムス+プラス ウェブアクセストップ10】

(1)「コロナで沖縄に逃げようとしている人へ」 29歳のイラストレーターが描いた漫画に共感の声【WEB限定】(4月16日)

(2)次亜塩素酸水で新型コロナ不活化「30秒以下で」 北海道大学とエナジック社が実証(5月15日)

(3)「うるさい、早く降りろ」バスに不慣れな母子…運転手が浴びせた暴言(5月11日)

(4)「意識高い」感染した女性が病院で取った行動 医師が恐れる“コンビニ受診”(2月19日)

(5)コロナ感染のはなわさん、沖縄で琉球朝日放送の社員と会食 局内の陽性者3人に(7月23日)

(6)「闘牛女子」久高幸枝さん死去 46歳(6月1日)

(7)ひどすぎる「マスク切れ」のクレーム 従業員を疲弊させるお客の“迷惑行動”が明らかに(4月12日)

(8)こんな木造小屋に20年も…失恋を機に“閉じ込められた”女性 浮かび上がる社会の過ち(1月23日)

(9)集めた首里城の義援金、送金が進まず問い詰めたところ…石垣市職員が500万円着服(10月14日)

(10)全市民、自宅待機へ 石垣市でクラスター感染か 濃厚接触100人以上の恐れ(4月16日)

次点 コロナ感染の宮古島市の女性 容体急変し死亡(8月9日)