北部訓練場跡地で、米軍が廃棄したとみられる金属製の部品類から放射性物質が検出された。他にも地中に埋まっている可能性がある。世界自然遺産登録の候補地となっている場所である。国は土地の利用履歴を米軍に照会した上で、早急に広範囲な調査を実施するべきだ。

 発見されたのは、国頭村安田のヘリパッド跡の約70センチ掘り起こした場所。放射性物質「コバルト60」を含有する電子管が金属製の缶に入れられ、コンクリートで固めて埋められていた。強い油臭のする朽ちた缶の中からは、電子管の発熱を抑える目的で使われていたと考えられるポリ塩化ビフェニール(PCB)も検出された。

 どちらも、すぐに人体や自然界に影響を及ぼすレベルではないというが、国内では管理や保管、廃棄の仕方が法律で義務づけられている。

 放射性物質ということを明らかに意識した処理で、専門家が指摘する通り「放射性物質の不法投棄」である。

 返還地からは、これまでも毒性が強く使用が禁止されている農薬や訓練弾、タイヤ、バッテリーといった廃棄物が次々と見つかっている。ベトナム戦争で使用した猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を1960年代に散布していたことも明らかになっている。現在もダイオキシンが土壌に残留している可能性がある。

 世界遺産の登録に影響を与える可能性もある。

 県は国に、期限を定めた上で返還地全体で調査、撤去を強く求めるべきだ。 

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 日米両政府が負担軽減の目玉とした北部訓練場の過半4010ヘクタールが2016年12月に返還されてから4年がたつ。

 防衛省は通常は数年かかる支障除去を、使用履歴などを文献で調べる「資料等調査」や見つかった廃棄物の処理をする「廃棄物等調査」を含めて約1年で、地権者に引き渡した。今回のケースは防衛省の引き渡し前の調査が、不十分だったからではないか。

 県内では、米軍から返還された土地の環境問題が後を絶たない。13年には、沖縄市のサッカー場で多数のドラム缶からダイオキシンなどの汚染が発覚した。

 1996年に返還された嘉手納基地跡地の北谷町の宅地からはダイオキシンを含む廃棄物が見つかり町は今年、買い取りを余儀なくされた。

 基地に起因する汚染が与える不安や損害に、基地を提供する政府が、責任を持って対応するのは当然だ。

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 1960年に結ばれた日米地位協定では、米軍の原状回復義務を免除している。

 協定は長年にわたり、米本国や日本の国内法ではあり得ない廃棄物の投棄などずさんな処理を米軍に許してきた。

 沖縄島北部などの世界自然遺産登録について、国際自然保護連合(IUCN)は、北部訓練場や返還地の環境保全のための日米両政府の調整が、課題と指摘している。

 菅義偉首相は、所信表明演説で、北部訓練場の返還に触れて「本土復帰後最大の返還となった」と負担軽減を強調した。だが、こうした状況では実感が得られるはずがない。