米軍普天間飛行場周辺の住民4182人が、同飛行場から生じる夜間・早朝の航空機騒音差し止めなどを求め国を提訴した。3度目の「普天間爆音訴訟」である。

 原告が求める主要な点は、午後10時から翌朝6時までの航空機騒音の停止と、それ以外の時間帯の騒音を65デシベル以下にすることだ。2車線以上ある道路に面する住宅地の環境基準が昼間は65デシベル以下であることを考えると、無理がないどころか当然の訴えである。

 同様の請求がなされた過去の普天間爆音訴訟では、飛行差し止め・制限は一切認められず、騒音に対する一定の賠償が認められただけだった。司法が「国は米軍機の運航を規制する立場にない」との解釈に縛られているからだ。ただ、この「第三者行為論」の妥当性は揺らいでいる。

 政府は国会などで「一般的な国際法上の原則で、外国軍隊に日本の法律は直ちには適用がない」と説明していた。第2次普天間爆音訴訟の確定判決でも、条約に規定がない以上、政府は「第三者」である米軍の活動を規制できないとしている。

 一方、日本弁護士連合会はそうした「国際法の規定は存在しない」と指摘。その後国会などでも批判が強まった。

 現在政府は、米軍に国内法が適用されない理由を「軍隊の性質」によるとしている。だが、県が欧州4カ国で行った調査で、米軍の活動はこれらの国の国内法で規制されていることが分かっている。

 「軍隊の性質」を根拠に住民への騒音被害を放置するのには無理がある。

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 オスプレイといった所属航空機以外の外来機による騒音被害も増加している。沖縄防衛局によると、普天間での外来機の離着陸は2019年度、2776回におよび、2年間で6・7倍に増えた。

 米軍はアジア太平洋地域での弾道ミサイルによる脅威に対処するため、特定の拠点に部隊を固定せず広域を分散機動させる運用に変わりつつある。外来機の飛来は今後も増加する公算が大きい。

 加えて普天間周辺は住宅や店舗が密集し、日常的に旋回や急激な上昇・下降訓練を行う軍用機は、騒音だけでなく事故をもたらす危険もある。17年には保育園への部品落下や小学校校庭へのヘリの窓落下が起きたばかりだ。

 深夜・早朝の飛行を制限する現在の騒音防止協定は「米軍の運用の必要」で守られないことが少なくない。米軍機飛行に一定の合理的制限を加える必要性は増している。

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 普天間のような爆音訴訟では、米軍機の飛行差し止め請求が加わっているため、原告の適格性なども含め立証すべき項目が多い。一般的な国家賠償訴訟と比べ判決まで時間と手間がかかるのが通常だ。

 それにもかかわらず、第1次訴訟で約400人だった原告数は今回4千人超と提訴のたびに増えている。戦後数十年間にわたり被害を甘受させられてきた普天間周辺住民の不満は高まっている。

 原因は既存のルールを守らない米軍にあり、守らせるのは司法の役目だ。今回こそ住民救済の道を開くべきだ。