沖縄県の南城市佐敷津波古の住民「馬天ちゅ」に長年愛される上原商店を応援しようと、常連20人以上が出資したラジオCMが12月から地元FM局で毎日流れている。人気商品「馬天どうふ」などを近隣住民がPR。25秒の宣伝に店への愛が詰まる。なじみ客らは「昔ながらのマチヤグヮー(商店)に頑張ってもらいたい」と熱い思いを寄せる。(南部報道部・松田興平)

上原商店を切り盛りする上原伴子さん(右)と市内外から豆腐などを買いに訪れた常連客たち=17日、南城市佐敷津波古

 創業50年以上の店を切り盛りするのは上原伴子さん(65)と親類の上原俊子さん(80)。地元の上原豆腐店から仕入れる「馬天どうふ」は中部から買いに来る客もいる。毎朝、のうれんプラザ(那覇市)から仕入れてくる総菜や丁寧にひげ取りされたモヤシなどの野菜も人気商品だ。

 「ハートFMなんじょう」で流れるCMは、三線の調べに合わせて「上原商店がないと困ります」などのせりふが明るい口調で連なる。

 CMの話を聞いた伴子さんは「驚いた。最近、初顔のお客さんが増え始めた。背伸びせず、こつこつ営業してきただけなのに」と照れ笑い。

 近年、大型スーパーの進出などで個人商店を継続する難しさを身に染みて知っている。「だからこそ、うちみたいに昔ながらの趣の店に目を向けてくれたのかもしれない」

 同店の日常には、ほのぼのとしたやりとりがある。女性客たちが買い物ついでに販売用モヤシのひげ取りを手伝うのは見慣れた光景。レジ周りが井戸端会議の場となる。

 おしゃべりに加わった年配男性が「何を買いに来たか忘れた」と首をひねり、伴子さんが「一回帰って思い出してから来なさい」と返す。そんな会話がほほ笑ましい。

 上原商店を思う地元有志が奮起したのは10月の地域会合。ハートFMなんじょう職員の平田美智子さん(60)は「商店を残そう! ってその場だけ盛り上がって翌日にけろっと忘れてしまう『沖縄あるある話』になりそうだったけど、何とか熱意を呼び覚ました」と笑顔で振り返る。CMの話を仲間に持ち掛けると、続々と協力者が集まった。

 出資者の1人、松田浩平さん(43)は家族4世代にわたる常連客。「上原商店だけ昭和で止まっている感じ。ここでしか買えない物と、味わえない空気がある」と愛を語った。

 同店の営業時間は午前6時から午後8時まで。