社説

社説[コロナ困窮者支援]年末年始も窓閉ざすな

2020年12月28日 05:00

 かつてない厳しい年の瀬だ。

 新型コロナウイルスの影響で生活困窮者が増えている。 自治体が、生活に困っている人を対象に開設する相談窓口「自立相談支援機関」の県内相談件数が2020年度上半期、1万853件となり、前年同期の5倍に増えた。

 全国は3倍で、県内の伸び幅は際立っている。

 外出自粛で全国でも飲食、観光業への影響が大きいが、観光立県・沖縄への影響は著しい。

 役所も店も閉まる年末年始は、行き場を失い、物理的、心理的に追い込まれる人が増えることが危ぐされる。

 厚生労働省は、困窮者への支援が細る恐れがあるとして各自治体に、正月休みの12月29日~来年1月3日の閉庁期間も臨時窓口を開設するなど対策を取るよう要請した。

 東京都は住まいのない人のため、ビジネスホテル千室分の予算を確保したという。一時宿泊施設などへ案内する自治体もある。

 県内には自立相談支援機関の相談窓口が県(北中南部、久米島など5カ所)と11市の計16カ所ある。

 そのうち、石垣市が正月休みの全期間、名護市が1月1~2日を除いた期間、臨時的に相談窓口を開くことを決めている。

 差し迫った事態だ。ほかの自治体も臨時窓口を開所するなど、対応を取るべきだ。

 地域の人々が困っているこんなときこそ、力を尽くしてほしい。

■    ■

 減収となった人に無利子で最大20万円を貸す「緊急小口資金」、月20万円を原則3カ月分貸す「総合支援資金」の特例措置は、今月末だった申請期限が来年3月末まで延長される。

 家賃を補助する「住居確保給付金」も、支給期間が最長9カ月から1年に延びる。

 行政も手をこまねいているわけではないが、こうした支援制度の情報にたどり着けない人も少なくない。

 県内の困窮家庭に食料を届ける「女性を元気にする会」では支援した家庭の9割が、当面の生活費を無利子で借りられる緊急小口資金を利用していなかった。制度そのものを知らない人が多かった。情報を得られていない人は日々の生活に追われ、地域とのつながりが弱い傾向がある。

 行政情報はとかく分かりづらく、ハードルが高い。「自立相談支援機関」の存在もどれだけの人が知っているだろうか。誰もがアクセスしやすい発信も大事だ。

■    ■

 新型コロナウイルスは世界各地で変異種が見つかり、ますます収束の見通しが立たなくなっている。

 経済への影響はさらに長期化する可能性が高い。

 2008年のリーマンショックでは、労働組合や市民団体が立ち上がり、年末年始に「年越し派遣村」を開いて、仕事や住居を失った人を支援した。

 民間の支援も大切だが、やはり核となるのは行政だ。身近な自治体にいつでも相談できる「駆け込み寺」があることは心強い。正月も、支援の窓を閉ざさないでほしい。

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