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沖縄市の東海岸に広がる泡瀬干潟。人工島(中央)を囲む形で保護する計画がある=2018年5月

 沖縄市の泡瀬干潟のラムサール条約登録を目指していた県環境部が、23日の地元説明会で、登録の前提条件となる干潟エリアの「鳥獣保護区」「特別保護地区」指定計画案を白紙に戻した。「地元の賛意」も条件の一つで、市の東部海浜開発事業への影響を理由に「時期尚早」と反発する地元の意向をくんだ形だが、県幹部は「開発に影響はなく、ラムサール登録は国内外から関心を集める。ウィンウィンのはずだった」と首をかしげる。一方で「これ以上、開発の邪魔はしないでほしい」。地元関係者からはそんな本音が漏れる。(社会部・山城響、中部報道部・豊島鉄博)

■「ワイズユース」がベース

 ラムサール条約には、湿地を守るため社会活動を厳しく規制する考えはなく、環境省も産業など社会経済活動とのバランスが取れた湿地保全を推進している。同省担当者は「生態系を維持しながら、暮らしがより豊かになるよう湿地を賢く利用する『ワイズユース』の考えがベース」と説明する。

 登録後は、狩猟禁止のほか、工作物の新築や改築、埋め立てや樹木の伐採などの「一定の開発行為」に国の許可が必要となる。だが鳥獣保護管理法は「生息地の保護に重大な支障を及ぼすと認めるべき相当の理由がなければ、不許可とすることができない」と定めており、規制はさほど強くない。

 1999年には那覇市と豊見城市の間にある漫湖がラムサール条約に登録された。周囲には、とよみ大橋などの橋が架かる。同省沖縄奄美自然環境事務所によると、登録後に不許可となった開発事業はないという。

 県環境部も、登録されたことで公共工事ができなかった例はないと強調。幹部は「マイナスになるとは思えないのだが」とこぼす。

■2度の住民訴訟

 泡瀬の干潟周辺を埋め立てる東部海浜開発事業は、1984年の構想から36年がたつ。その間、2度の住民訴訟があった。2009年には公金支出を差し止める判決が確定し、工事は一時中断。最終的に、埋め立て面積は当初計画から半減した。ラムサール条約登録に反対する関係者らは、地域振興の起爆剤として開発事業の完成を待ちわびる。

 地元の経済関係者らでつくる沖縄市東部海浜開発推進協議会の幹部は、人工島にホテルが建つなどして、観光客らでにぎわう姿を夢見る。「人が増えれば、島に架かる橋は1本では足りず、防災上の面からも増やす必要が出てくる。今後のことを考えると、ラムサール登録で制限を受けるわけにはいかない」と訴える。

 同事業推進議員連盟に所属する市議は「県は開発行為に影響しないと言うが、許可するのは国。県の言い分は安心できない」と明かす。泡瀬復興期成会のメンバーは「開発の足かせになりかねない。これ以上、計画に支障が出るのはごめんだ」と語気を強めた。