社説

社説[県経済展望]再生と変革 勝負の年に

2021年1月3日 09:52

 県経済を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染拡大で年が明けても厳しさが続く。ことしは再生へ向けて歩みだす勝負の1年となる。

 日本銀行那覇支店の昨年12月の県内企業短期経済観測調査によると、企業の景況感を示す業況判断指数はマイナス19だった。3カ月前に比べれば改善したとはいえマイナスのままだ。

 特に県経済の屋台骨である観光業が大きな打撃を受けている。

 沖縄観光は昨年秋以降、政府の観光支援事業「Go To トラベル」などで息を吹き返しつつあった。だが感染の「第3波」が急速に広がり、風向きが変わった。年末にGo Toが全国停止され、予約のキャンセルが相次ぐ事態に陥った。

 Go To停止は今月11日までの予定だが、その後の再開は不透明だ。東京都と周辺3県は、政府に首都圏への緊急事態宣言の発出を要請するほど緊迫している。

 思い出されるのは、昨年春、全国に緊急事態宣言が出された際の閑散とした国際通りや那覇空港の様子だ。

 「人けの少ない、がらんとした空港を見ていると悲しくなった」。那覇空港に菓子類を取り扱う土産品店を出している企業の役員は振り返る。

 昨年5月の店の売り上げは前年の3%にまで落ち込んだ。その後は上向いたものの前年の3分の1から4分の1程度にとどまる。それでも「もう一度沖縄に来たい、という気持ちになってもらう足掛かりにしたい」と前を向く。

 このような企業一社一社が観光立県沖縄を支えている。

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 暗いトンネルからいつになったら抜け出せるだろうか。

 県内の経済の専門家は、コロナの状況次第としつつ、ワクチン接種が始まり、Go Toが再び観光の押し上げに働けば、経済は緩やかに回復するとの見方が強い。

 ただ、国境を越えた人の移動は制限が続くと見られる。活況だった訪日外国人客が戻ってくるには時間がかかるだろう。

 沖縄観光は「量から質」への転換が課題とされる。今こそ実現を図るべきだ。付加価値の高い新しい観光スタイルを提案してもらいたい。

 観光地や休暇先でテレワークに取り組む「ワーケーション」は全国で誘致の動きが相次いでいる。沖縄でも受け入れを模索している。広がりは限定的だが関心は高い。ネット環境の整備を進めアピールしてほしい。

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 懸念されるのは雇用情勢だ。コロナの影響は小売りや飲食業など幅広く解雇や雇い止めは1500人を超える。

 コロナ禍で露呈したのは、観光に依存する沖縄経済の脆(ぜい)弱(じゃく)性である。2001年の米同時多発テロ後の「風評被害」でも見られたように観光業は外的要因に左右されやすい。経済再生に向けては観光に次ぐリーディング産業の強化も同時に進めなければならない。

 一方、不安材料をチャンスととらえデジタル化の推進や人材の積極採用に取り組む企業もある。コロナ後を見据えた新たな挑戦に注目したい。

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