日増しに高まっていく怒りの声、抗議のうねり。女性団体をはじめさまざまな組織が相次いで声明を発表し、企業経営者も労働者も若者も、党派を超え世代を超えて次々に声を上げた。

 1995年9月、沖縄で起きた3人の米兵による少女暴行事件。基地問題が女性の人権問題として全国的に大きくクローズアップされた。

 大田昌秀知事(当時)が、未契約米軍用地を強制使用するための代理署名を拒否したのもこの時期である。

 二つの出来事は、安全保障の基盤を根底から揺さぶるものだった。日米両政府が「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO=サコ)を設置し、最終報告をまとめたのは96年12月のことである。

 基地の整理・統合・縮小、騒音軽減、地位協定の運用改善など、負担軽減策を盛り込んだSACO最終報告から今年で25年になる。

 沖縄の負担軽減と米軍の機能維持を同時に実現するのがSACO合意のねらいだった。

 だが、実際には、当時のペリー米国防長官でさえ、辞任の送別会で「矛盾する内容で、神様だってできない」(大田昌秀著『沖縄の決断』)と語るような内容だった。

 途方もない金と時間をつぎ込んできたにもかかわらず、米軍の要求実現が優先され、負担軽減を実感することができない。

 機能強化につながる新たな動きも目立つようになった。SACO合意を検証し、問題点を洗い直す作業が必要だ。

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 菅義偉首相は、北部訓練場の過半返還(約4千ヘクタール)を大きな成果として強調するが、あまりにも一面的な理解である。

 返還面積を大きく見せるため使わなくなった土地を返還し、その代わり、東村高江区の集落を取り囲むように新たに六つのヘリパッドを建設した。

 結果、騒音が激増し、住民は負担軽減と逆行する新たな負担を強いられている。国内法が適用されず、低空飛行の規制もない。

 パラシュート降下訓練は、SACO合意に基づいて伊江島補助飛行場に移転されることになったが、米軍は「例外」との名目で嘉手納基地での降下訓練を強行し続けている。 

 騒音の規制措置も日米合意に「抜け穴」が用意されていて、実効性に乏しい。米軍が「運用上必要」と判断すれば、深夜早朝の飛行訓練も妨げられない。

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 地位協定の運用改善の限界も明らかになっている。

 合意議事録によって米軍の特権が保障され、民間地域で事故が発生しても、警察の捜査が妨げられ、主権の行使ができない。

 軟弱地盤の存在が明らかになった辺野古の新基地建設計画は、一日も早い危険性除去という当初の目的達成が不可能になり、完全に破綻した、といえる。

 県は、来年の復帰50年に向け、SACO合意の検証を急ぎ、問題点を整理すべきだ。その上で新たな改善要求をまとめ、日米両政府に突き付ける必要がある。