2021年1月からスタートする連載企画「幸田悟の沖縄音楽旅行+プラス」、大注目の沖縄アーティストを沖縄カルチャーの広告塔 幸田悟がインタビューで深掘りしていきます! 記念すべき第一弾は、BEGINのスペシャル・インタビューをお届けします!!

昨年は、新型コロナウイルス感染症によって世界中が翻弄されました。そんな2020年、沖縄県石垣島出身の幼馴染の3人で結成したBEGINのデビュー30周年の節目の年でもありました。「BEGINの名曲10曲で振り返る30年」や「メンバーそれぞれの思い出」などアニバーサリーならではのエピソードから、「コロナ禍でがんばっているみなさんへのメッセージ」まで、「幸田悟の沖縄音楽旅行+プラス」ならではのロング・インタビューです。どうぞ、お楽しみください。
◆登川誠仁さんに学んだ達人の戦い方
—— 2020年はBEGINデビュー30周年でした。10周年からほぼ、5年刻みでインタビューさせていただいてます。30周年の節目でもインタビューできること、大変嬉しく思います。ありがとうございます。これまでのいちばんの思い出、出来事、エピソードをそれぞれ教えていただけますか?
島袋優 僕はあれっすね。渋谷のPARCO劇場でやった、初めてのコンサート。緞帳がグーっと上がっていく中をボリュームペダルを使って弾くギターから入っていくんだけど、その時に「人間の足ってあんなに震えるんだな」ってくらい震えたのを覚えてる(笑)。
上地等 2004年くらいのことだと思うんだけど、ハワイで行われた『オキナワン・フェスティバル』が印象的。BEGINにとっては、はじめての海外公演だったんだよね。沖縄県人会や移民された先輩、その子孫の方々の前でライブをさせていただいて感動しました。戦後、圧倒的な食糧不足だった沖縄に、ハワイ在住の沖縄出身の日系移民の方々が豚を送り届けてくれたというエピソードを知り、それがキッカケで「ブタの音がえし募金」が2005年にスタートしました。豚と同じ数、550本の楽器をハワイに送ろうと『うたの日コンサート』の会場でのみ募金箱を設置してます。みなさん、ご協力よろしくお願いします。
比嘉栄昇 いまパッって思いついたのがふたつあるんだけど……。ふたつでもいい?(笑)。大阪で開催された『琉球フェスティバル』でのこと。登川誠仁さんの前にBEGINが演奏してバトンタッチするというシチュエーションがあって……。あの頃、「島人ぬ宝」とかBEGINの島唄が盛り上がってるときで、しかもバンド編成だったから、「どうする?」って。「なんか、3人だけでアコースティックでしんみりやって手渡すか?」とか色々考えた末、「セー小(登川誠仁の愛称)先生だから、そんな失礼なことはできるか」とフルでやったんだよね。全力でやって、会場も盛り上がって手渡したわけですよ。俺たちはヒヤヒヤなんですよ。「あまりに盛り上げ過ぎて、俺たちは間違ったことをしてるんじゃないのかな」って。そしたらセー小先生は、三線片手にひとりでステージに出ていくわけですよ。飄々と歌い始めたら、マイクスタンドがとても高い位置にセットされてて、セー小先生はとどかないわけ。それでも気にせず、そのまま首を上に伸ばしながら歌い続けてたら、観客はもうBEGINのことなんて忘れて登川誠仁さんに釘付けになってる(笑)。これが達人の戦い方だと(笑)。
島袋 これはすごかったな。一瞬でドカーンとなりよった(笑)。
比嘉 もうひとつは、安室奈美恵ちゃんの引退のコンサート。なぜか俺たちも立ち会うっていう(笑)。大輪の華が枯れず去っていく。その神々しい背中を見送ったことも印象深かったですね。