—— BEGINの30年を10曲で足早に振り返ってみたんですが、改めていい曲ってひとり歩きして、広がっていくんだなって感じました

島袋 そうですね。初めてブラジル行ったときに、BEGINの曲でエイサーを踊ってくれてるんですよ。本当に曲って旅をするんだなって実感しました。

◆『うたの日コンサート』誕生へ

—— 2001年にスタートした『うたの日コンサート』、その考え方も定着しました。その中からBEGINのマルシャショーラもコーナー化し、老若男女楽しめるコンサートになったりと、いろんなものが生まれてますね

比嘉 そうですね、時代とともにいろいろ変えていっているし、生き物のように自分たちもこのコンサートと付き合っている気がするんですよね。慰霊の日にオジーやオバーが平和の礎に刻まれた名前を涙しながら撫でている姿を毎年見続けていたんです。その思いをどうにか晴らすことはできないかと。戦争で辛く悲しい思いをした。でも、それが終わったあと、ウチナーンチュだったら、きっと歌って踊ったんじゃないかと。僕らは、その思いも受け継がないといけない。それでスタートしたのが、『うたの日コンサート』でした。最初は、有名なアーティストが沖縄に集う、今で言うところのフェスのようなスタイルでうたをお祝いしてました。でも時代とともにフェスがあたりまえになってきたというのと、一日だけのうたのお祝いではなく、一年間楽しみにできるようなことをやろうじゃないかということで、フラのみなさん、エイサー隊、カラオケが好きな方などが参加できるコンサートにしました。プロだとかアマチュアだとか関係なく、ステージに上がれる、表現する日として一年間楽しみにできる『うたの日コンサート』を目指すようになりました。

—— それぞれのソロ活動も充実してます。それぞれのソロについて話を伺います。まずは等さん、2016年8月3日にソロアルバム『48(よんぱち)』をリリースしたり、アーティストプロデュースや楽曲提供なども行なってますね

上地 ソロって3人で分担してやる作業を単純に全部ひとりでやるわけじゃないですか。大変な部分もあるんですけど、全部自分に跳ね返ってくるのでやりがいもある。勉強にもなったし、楽しいこともたくさんあります。ソロアルバムのリリースとかやってよかったなと思いました。プロデュースに関しては2018年に山出愛子のさくら学院卒業後初ソロ作品のプロデュースを担当しました。BEGINとは違う活動なんだけど、根底にはしっかりとBEGINがあるということや、その良さを再認識できたりしました。

—— 優さんは、沖縄関連のアーティストへの楽曲提供やプロデュースを積極的に行ってますね。また、 2016年8月24日には、ISLAND BAGとして『Stars in the Sand』 をリリースしました

島袋 ネーネーズ、夏川りみ、平川美香などに楽曲提供してます。そして最新では「いーどぅし」のプロデュースを行ってます。若いアーティストと仕事をさせてもらう機会が最近多いんですけど、「沖縄の未来は明るいな」と感じるんですよ。若いなりに沖縄のアイデンティティをしっかり持ってる。俺たちの世代は、沖縄コンプレックスとかあったけど、今の子は「私たちウチナーンチュです」って胸を張って言えてる。それっていいなって思います。ISLAND BAGに関しては、僕とキャロラインは、はとこということもあって、すごく楽しく趣味的な世界を表現できて面白かったなと思います。

◆ソロ活動から見えたこと

—— 栄昇さんは、2006年8月23日にアルバム『とうさんか』、2014年にアルバム『えいしょうか その一』、『えいしょうか その二』などをリリースしてます

比嘉 僕はBEGIN以外の表現をしたいというのはありません。ソロでアルバムを出すときは、BEGINに休憩が必要だと感じたときなんです。BEGINを休んでる間になにをやろうかなという発想から始まっているので、積極的にアルバムを制作しようということでもないんです。『とうさんか』は、歌がお土産にならなきゃダメだと、石垣島だけでリリースしたいと言ってレコード会社を困らせました(笑)。叙情歌を収録した『えいしょうかその一』に関しては、ブラジルに行く機会があって、そこで何を歌って欲しいかリクエストを取ると圧倒的に叙情歌や唱歌でした。完全にブラジルの方々に向けて制作したアルバムでした。『えいしょうか その二』は、僕らが影響を受けた音楽や、田端義夫さんとか大先輩、師匠のような存在の人たちの歌にもう一度触れるというそんな感じなんです。それと、僕の歌がきっかけで、僕らの世代の人たちにも知ってくれたらという思いが強かったです。

—— それから栄昇さんにもうひとつ質問。長男の比嘉舜太朗は「HoRookies」、次男の比嘉ケンジロウは「ATHE DANGANEEDS」でそれぞれ活躍してますね

比嘉 両極端なバンドで面白いですよね(笑)。長男の舜太朗は、次男が生まれる前に「島人ぬ宝(一五一会バージョン)」にも参加してたり、ツアーから帰ってきたらいつの間にかシンセドラムを叩いていて(笑)。音楽の道に進むんじゃないかと思ってました。幼馴染同士で組んだ「HoRookies」も楽しみだよね。次男のケンちゃんは、表に出るのがイヤっていうタイプだったんだけど、中学校の時にラップをやり始めた。でも「パパ、石垣ではやっぱりラップでは届かん」って言って、全く楽器触ったことがない4人組が集まって、「ATHE DANGANEEDS」というロックバンドを始めました(笑)。あんなサウンド、久しぶりに聴いたよね。俺は、お父さんというより仲間みたいな感じで日々接しているので、彼らが何やるか楽しみなんだよね。

—— 2020年の夏、配信リリースされた、オリオンプレミアムクラフト「75BEER」のCMソング「24-7のブルース」は、すごく勇気が出る曲になってますね

島袋 このCMソングの第一弾は歌詞なしでハミングのバージョンからスタートしたんです。そのときは、徐々に歌詞を入れて展開していこうという計画だったんです。第二弾に入る前に新型コロナウイルス感染症が世界中に広まって、一体何を歌えばいいんだろうって考えたんだよね。ブルースって歌詞に数字が入ってることが多くて、数字を入れたいなと漠然と思ってたわけ。それでタイトルを「24-7のブルース」にしました。「トゥエンティ・フォー・セブン」とは24時間、7日間、「年中無休」のという意味。 「マクトゥーソーケー、ナンクルナイサ(自分が正しいと思うことを信じて歩めば、必ず何とかなる)」という歌詞があるのですが、自分に言い聞かせている側面もあります。頑張れっていう応援歌というより、一緒に頑張っていこうという気持ちで演奏してます。まだライブでやれてないので今から楽しみです。