社説

社説[県内選挙展望]コロナ後の針路を示せ

2021年1月7日 06:10

 新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機、生活危機の中、2021年の政治の焦点は、秋までに実施される衆院選だ。

 前回17年の衆院選沖縄選挙区では、名護市辺野古への新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力の候補が1、2、3区で勝利した。

 自民党が圧勝し、自公で3分2の議席を確保した全国と比べ、対照的な結果だった。

 県内の有権者が「辺野古反対」の民意を安倍晋三政権に突きつけ、翌年の玉城デニー知事誕生の流れをつくった。

 だが、今回は2区で6期議席を守り続けた照屋寛徳氏(社民)が勇退する。後継者の新人と自民候補との一騎打ちになる公算だ。

 大票田の那覇市を抱える1区は前回、共産現職が接戦の末に、自民、維新候補らを制した。共産候補が小選挙区で当選したのは、全国で沖縄1区だけである。

 今回、自民と無所属となった候補の保守一本化を求める動きもあり、前回とは異なる構図となる可能性がある。

 「オール沖縄」勢力が、議席を減らすことになれば、来年の知事選に少なからず影響を与えるだろう。

 保守勢力にとっては、県政奪還への反転攻勢への足掛かりとなる。

 コロナ禍で社会の脆弱(ぜいじゃく)性があらわになる中、その対応が大きな課題となる。

 工期、予算も膨らむ軟弱地盤の設計変更申請など新基地建設を強引に進める菅義偉政権の基地政策も改めて、問われることになる。

■    ■

 解散の時期によっては衆院選、さらには来年の知事選にも影響を与えるのが3市長選だ。1月の宮古島を皮切りに、2月に浦添、4月にうるまで市長選が実施される。保守系の現職・後継者に「オール沖縄」や革新系の新人が挑む形だ。

 自民党は特に宮古島市長選を、県政奪還へ向けた重要な選挙と位置づける。現職は県内保守系首長でつくる「チーム沖縄」の会長を務め、政府と協調関係にある。現職勝利で勢いをつけ、以降の市長選につなげたい考えだ。

 首長選挙では、新基地問題よりも、足元の課題が優先される傾向にある。現在11市のうち「オール沖縄」勢力の市長は那覇、豊見城、南城の3市だけだ。

 3市長選で、「オール沖縄」や革新勢力が1市でも勝利すれば、玉城知事再選への弾みとなるだろう。

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 県の試算によると、コロナによる本年度の県内の経済損失は約6500億円に上る。昨年一年間の観光客は前年の約1千万人から400万人を割るのは確実だ。沖縄観光始まって以来の急激な観光客の減少になる。

 仕事を失い、明日の生活さえ見えない人が増え、社会の「困窮化」が急速に進んでいる。

 来年は復帰50年の節目の年である。新しい沖縄振興計画もスタートする。

 どのように感染防止対策を取り、どう地域や沖縄の未来を描き、実現していくのか。

 地域経済再生へ政治の果たす役割が問われている。

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