県内で33年ぶりに豚熱(CSF)の発生が確認されてから8日で1年を迎えた。被害は10農場にまで拡大し、飼育されていた全ての豚が殺処分で失われた。その中には絶望感に打ちひしがれ、資金繰りの見通しが立たずに廃業した農家もいた。そんな中、再起を決意し、手探りで養豚を再開する動きも出ている。それぞれの1年を追った。(政経部・又吉朝香)

 豚熱の発生農場の関連農場として約400頭の豚を殺処分された本島中部の男性は「借金してまで農場を続ける経済力はない」と30年近く続けた養豚業を辞めた。

 経営再開にはふん尿処理の浄化槽が必要で、豚舎の維持費もかさみ、最低でも1千万円の費用がかかる。また、出荷の本格再開まで2年はかかる。その間の十分な収入も見込めないことから再開は不可能だと考えた。

 その後、他の仕事を始めてみたが「やっぱり養豚を続けたい」という思いが募り、昨年11月から、知り合いの農場で働き始めた。しかし、豚と接しているうちに「豚熱がなかったら...