国の持続化給付金を巡る詐欺事件で、詐欺容疑で逮捕された税理士で行政書士の男性(51)、会社役員の男性(54)が、給付対象外の申請者に氏名と職業だけを用紙に書かせて提出させ、事務所側でうその収支を確定申告書に記載し、給付申請していた可能性があることが分かった。税理士事務所で実際に目撃した関係者が本紙に証言した。
この関係者によると、税理士事務所で給付申請の受付係だった会社役員の男性は、給付要件を満たさない申請者に白い紙を渡し、氏名と職業だけを書くよう促したという。関係者は「一人一人名前を呼ばれ、用紙を渡されて『名前と職業を書いてもらえますか』という流れだった」と当時の様子を話す。
会社役員の男性が確定申告の内容や売り上げ台帳など一通りの申請書類をまとめ、それを受け取った税理士で行政書士の男性が事務所のパソコンを使って税務署へ確定申告し、給付申請したという。
個人事業主の場合、確定申告書、売り上げ台帳、通帳の写し、運転免許証など身分証の写しの四つがあれば申請できる。
会社役員の男性は逮捕前、本紙の取材に「確定申告書は申請者に聞き取りして書く」とし「全部正しいかは分からない。こちらに不正を調べる義務は無い」などと話していた。
1500件ほど確定申告したが、実際に税務署に受理され給付申請できたのは約700件だったとも述べている。
県内で給付金の申請代行に携わった複数の税理士や行政書士によると、申請に要する時間は1人当たり平均1時間程度といい「これだけ大量の申請処理を行うのは通常考えられない」と指摘する。