沖縄県の玉城デニー知事は9日、全国知事会のオンライン会議で、新型コロナウイルスの陽性者への入院勧告の順守義務などを設けるため、感染症法の早期改正を求めた。その理由に、1日に那覇空港で陽性者が搭乗しようとした事例があったことを明かし、療養を義務付ける法的根拠がなかったことに触れた。県総括情報部は、陽性者が搭乗しようとする事例が他にも複数件あり、年末年始に目立ち始めたと説明。保健所などの指示に従うよう協力を呼び掛けた。
■搭乗防止に苦慮
玉城知事は、感染症法の改正要望などを盛り込んだ知事会の緊急提言案に賛成した。
知事によると、年末に県外から沖縄本島北部を訪れた家族の一人が、滞在中にPCR検査で陽性が確認された。保健所が療養施設にとどまるよう伝えたが、飛行機で帰る意思を示した。
このため、那覇空港に駆け付けた県職員と航空会社の社員が、陽性者は搭乗できない趣旨を明記した航空会社の約款規定を説明。陽性者が理解したため、搭乗を防げたという。
会議後の取材に、知事は他にも、年末に県外から石垣島を訪ね、滞在中に陽性が確認された後に連絡が取れなくなり、行動歴を追跡できなくなった事例があることを明らかにした。
また、陽性者の搭乗を断った場合、航空代金の補償などについて国の取り決めがないことを問題視。何らかの対策が必要との認識を示した。
■行方不明も数件
県総括情報部によると、石垣の事例では、保健所から行方不明者として県警へ協力要請した。同様の事例は、他にも数件確認されている。
県の糸数公保健衛生統括監は、入院やホテルで療養するよう求めても従ってもらえず「対応に苦労する事例が出ている」と知事が法改正を求めた背景を説明。
周囲への感染と症状悪化を防ぐためにも、保健所などの指示に従い、調査にも協力するよう呼び掛けた。
知事は知事会で「Go To トラベル」の停止延長が、多くの業種に多大な影響を与えているとも強調。「感染拡大が落ち着いた地域は、円滑に(GoToトラベル)事業が再開できるようにお願いしたい」と国への要望を述べた。