沖縄県名護市辺野古の新基地建設に使用されていた作業船が昨年12月30日に恩納村名嘉真の浅瀬に座礁した周辺海域で、サンゴ礁の破損が確認された。座礁の4日前に同海域で写真を撮影したダイバーの女性によると、その時点でサンゴ礁に異常は見られなかったことから、作業船の漂流が原因となった可能性が高い。
現場のすぐ近くに住む竹下聖菜さん(29)が今月4日、船が座礁した地点から約500メートル北側の海域を潜り、サンゴ礁の破損を確認した。ひっくり返ったテーブルサンゴや根元から折れてバラバラになった枝サンゴのほか、船の部品やロープなどが海底で確認された。
竹下さんが12月26日、同じ場所でシュノーケリングをした時はサンゴに異常はなかったという。
現場付近は水深1~3メートルほどの浅瀬で、自然保護のため開発などが規制される沖縄海岸国定公園の区域内。サンゴ礁の破損が確認されたのは、希少なサンゴや魚類が豊富に生息することから重点的に保護される「海域公園地区」の約200メートル南側の海域だった。
竹下さんは「魚も多くとてもきれいな海なので、本当に残念。ひっくり返ったサンゴは元に戻せば生きることができるかもしれない。船の部品やサンゴの残骸も撤去しないと、波にもまれて無事なサンゴまで傷つけてしまう」と二次被害を懸念した。
沖縄防衛局によると、作業船は昨年末の悪天候の予報を受け、避難のため本部町の瀬底島付近に停泊していたが、アンカーワイヤが切れて流され、浅瀬に乗り上げたという。
名護海上保安署によると、1月12日以降の大潮の満潮時に合わせ、気象・海象を考慮して撤去作業をするという。