社説

社説[コロナ下の成人の日]困難乗り越え時代開け

2021年1月11日 08:04

 きょうは「成人の日」。

 ことしの県内の新成人は1万6729人で21世紀生まれも含まれる。大人の仲間入りを心から祝福したい。

 ただ、「一生に一度」の晴れやかな門出に、昨年から続く新型コロナウイルスの脅威が影を落としている。

 医療提供体制の脆弱(ぜいじゃく)な離島では、成人式を中止や延期にした自治体がある。古里を離れて暮らす新成人の中には、家族らへ感染させてしまうリスクを懸念して帰省を見送った人もいる。さぞ残念だっただろう。

 影響を受けたのは式典だけではない。毎日の生活そのものが昨年からコロナ禍で揺れている。

 希望を抱いて進学したのに大学の授業はオンライン中心で、新しい友人をつくりづらい。アルバイトがなくなり学業の継続に窮する学生もいる。

 就職活動では新卒の採用を抑制する企業の動きが相次ぐ。近年の売り手市場から一転して内定が得にくくなっている。

 社会人たちも、仕事にまだ十分慣れない中で自宅待機やオンライン研修、在宅勤務を求められ困惑している。収入が減少したり、解雇や雇い止めに遭ったりした人もいる。

 「こんなはずではなかった」。予想もしなかった現実に直面し、無力感を覚え、不安を感じている人は少なくないだろう。

 一方で見渡せば、現状を黙って受け入れるのではなく、変えようと考え、自ら行動を起こした若者たちがいる。

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 コロナの影響で生活苦に追い込まれた大学生らが昨年、学費減額運動を起こし、全国に広がった。大学側は減額には消極的だったものの給付金の支給などに乗りだした。

 高校生たちも動いた。コロナの影響による休校や、導入が取り沙汰された9月入学制の是非などを巡り、インターネットの署名サイトを活用して問題提起する動きが各地で活発化した。

 若者が声を上げたテーマは幅広い。

 気候変動対策を求めるスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんに共感し、世界へ広がった動きに日本の若い世代も呼応した。「私たちの未来を奪わないで」と強力な温暖化対策を求める署名3万8千人分余りを集め、先月、菅義偉首相ら宛てに提出した。

 外見上の劣等感を刺激するネット広告をやめてほしいと大学生が訴え、企業側が対策に取り掛かった例もある。

 社会を変えたい、という思いを若者が声に出し、行動に移すことが「特別」ではなくなりつつある。

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 コロナ禍はIT化の遅れなど日本社会の弱点をあぶり出した。政府はその強化に躍起だが、重要なのはITによって何をするか、どのような社会を目指すか、である。

 新成人たちは幼い頃からスマートフォンやSNSに慣れ親しんだ世代だ。柔軟な発想で新風を吹き込み、閉塞(へいそく)感を打ち破ってほしい。

 ピンチをチャンスととらえ、新時代を自らの手で開いてもらいたい。

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