大学入試シーズンを迎え、沖縄県内の受験生にコロナ禍の不安が広がっている。緊急事態宣言下にある首都圏など、県外大学を志望する受験生からは「移動や宿泊が心配」との声も上がる。先行きの不透明感から「推薦型」入試などの受験者増加や難関校の回避など「安全志向」も強まっている。センター試験に代わる初めての大学入学共通テスト(16、17日)を前に「苦労して合格しても、どうせオンライン授業なら」と志望校を変える動きも出ているという。(社会部・徐潮)
神奈川県の公立大を目指している那覇市内の女子高校生(19)は「2月末の2次試験が開催されるかどうかも見通せない。そもそも、行けるのか心配」と不安を口にした。先行きが不透明なため、航空券もまだ購入していないという。
緊急事態宣言発令を要請している大阪府の公立大を受ける予定の県内私立高の男子生徒(18)も「コロナの感染リスクを考えると、県外への移動は怖い」と心配する。「でも第一志望なので、2次試験をやるなら必ず行く」と話した。
県内予備校の担当者によると、志望校の入試要項などに変更がないか、生徒には小まめにチェックするよう求めている。県外の難関大を目指し、ラストスパートを掛ける生徒がいる一方で、たとえ県外に進学してもオンライン授業が中心になることを想定し、進路を県外から県内の大学に変更する生徒もいるという。
別の予備校の関係者は、国公立大2次試験や私立大一般入試の実施状況が見通せないため「受験生の『安全志向』が強まっている」と話す。昨年末に終了した総合型選抜と学校推薦型選抜(それぞれAO入試・推薦入試から改称)を受けた同校の受験生は例年より2割ほど増えた。
関係者は「受験機会が減ると、チャンスも減ってしまう。再挑戦や浪人を避け、志望ランクを一つ下げる生徒もいる」と説明する。
一方、県外からの受験生が不利にならないよう、県内各大学も混乱回避に備えて対策を講じる構えだ。
県外の受験生が多い琉球大学入試課は「通常通りの試験ができる前提で準備している」。今後、もし受験生の移動が制限される場合は「共通テストの結果を見て選抜することも考えている」という。
沖縄大学も「県外からの受験生が不利にならないように、個別の状況に合わせてオンラインや次の入試日程を案内するなどで対応していく」と方針を示した。