社説

社説[政府のコロナ対応] 言葉も危機感も足りず

2021年1月12日 09:46

 新型コロナウイルス感染拡大への政府対応に厳しい目が向けられている。

 共同通信社の全国電話世論調査では「評価しない」とする回答が68・3%に上った。評価しているのは、わずか24・9%だ。

 評価が低いのは、政府の状況認識が甘く、対応が場当たり的で後手に回っているからだ。

 冬になれば季節性インフルエンザとの同時流行の恐れもあるなどとし、医療提供体制が厳しくなる懸念は早くから指摘されていた。

 にもかかわらず感染の「第3波」に歯止めをかけられず、地域によっては医療崩壊寸前にまで陥っている。

 政府は11月下旬から「勝負の3週間」として感染対策の強化を呼び掛ける一方、菅義偉首相の肝いりの観光支援事業「Go To トラベル」を続け旅行を推奨してきた。

 GoToの全国一時停止を発表したのは12月14日。大阪や札幌など一部地域を外すなど限定的な見直しにとどめようとしたが、小出し対応が批判された末の遅すぎる判断だった。

 国民に会食を控えるよう呼び掛けながら、自身は大人数のステーキ会食に参加する、という菅首相の言動も不信を招いた。

 年明けに首都圏に発令された2度目の緊急事態宣言は、「感染爆発の瀬戸際にある」とする1都3県の知事たちに押し切られた格好だ。

 その後、同様に再発令を求めた関西3府県には、13日にも緊急事態宣言が出される見通しとなった。愛知、岐阜の両県も発令を求める意向だ。

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 政府は、緊急事態宣言により、時短要請に応じない飲食店名を公表できるよう新型コロナ特別措置法の政令を改正した。さらに特措法改正に向けても調整を急いでいる。

 焦点は、営業時間の短縮や休業の要請に従わない飲食店への罰則導入だ。菅首相は「罰則で強制力を付与し、より実効的な対策を可能にしたい」考えだが、私権制限の強化につながりかねない。

 長引くコロナ禍で飲食店は経営難に直面している。そこに罰則を伴って時短や休業を強制するやり方は適切か。「自粛警察」などの相互監視や分断が懸念される。国会で慎重に議論するべきだ。

 店舗に要請するのは都道府県知事であり、全国知事会が法改正を求めているのは分かる。ただ、実効性を確保する必要があるなら、罰則よりも、応じる店への補償の水準を引き上げるのが先だ。政府は財政支援を拡充してほしい。

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 世論調査で菅内閣の支持率は41・3%だった。12ポイント余り急落した12月時点の結果よりも、さらに9ポイント下落した。不支持の理由は「首相に指導力がない」が最多だった。

 菅首相は発信力の弱さが指摘されている。記者会見に消極的で、発令に伴う国会報告の場にも出席しなかった。

 緊急事態宣言し「1カ月後には必ず事態を改善させる」と述べたが、国民との信頼関係がなくては首相の言葉は響かない。リーダーシップを発揮し、丁寧で分かりやすい言葉を届けてほしい。

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