コロナ禍で2月1日から始まるプロ野球キャンプ。受け入れる沖縄県内市町村は感染防止策を講じた上での実施を迫られる。多くが入場制限やファンとの交流中止を決めているほか、医療機関との連携を調整する自治体もある。緊急事態宣言対象地域からのファン来県について関係者は「来ないでとは言えない」とこぼす。観光へのダメージも懸念しつつ、感染拡大防止に神経をとがらせる。
県内でキャンプを行う9球団のうち、緊急事態宣言対象地域に本拠地があるのは千葉ロッテ、巨人、ヤクルト、DeNA、中日、阪神の6球団。このうち病床が逼迫(ひっぱく)する離島の石垣市でのロッテキャンプは無観客での実施が決まった。
■DeNA・ヤクルト
DeNAのキャンプ地、宜野湾市では選手が新型コロナウイルスに感染した場合を想定して中部地区医師会や市内の医療機関と調整している。
ヤクルトを受け入れる浦添市は球団からキャンプインの正式発表はまだないが準備を進めており、観客の入場を制限する方向で調整している。市の担当者は「こういう形でのキャンプは初めてで、混乱が起きないか」と不安を口にした。
■阪神・巨人・中日
阪神を受け入れる宜野座村は入場者を例年の約3分の1となる1日千人に制限。中日のキャンプ地、北谷町は見学をメイン球場のスタンドのみとする予定。巨人の1軍キャンプがある那覇市は事前登録制で、球場のスタンド部分に土日祝日は5千人、平日は3千人に制限する。
本拠地が緊急事態宣言対象地域でない3球団のキャンプ地も対策を講じる。
■楽天・日本ハム・広島
楽天のキャンプ地である金武町は「無観客」も視野に検討している。観客を入れる場合は入場者数を例年の約4分の1の最大約500人に制限する。日本ハムの名護キャンプ、広島の沖縄キャンプも入場者を最大2千人に制限する方針だ。
広島東洋カープ沖縄協力会の担当者は「(入場者数減で)経済的な影響は避けられないだろうが、観光が落ち込む中、来てくれるだけでもありがたい。コロナ対策を徹底したい」。
ある自治体の担当者は感染拡大地域からのファン来県を不安視しながらも「感染防止対策を万全にし、安心して見学できる環境を整えるしかない」と吐露した。