2020年6月に沖縄県名護市辺野古にオープンし、半年余りになるカフェ「Heaven Heaven(ヘブン ヘブン)」。「リリーさん」の愛称で親しまれる店長の水谷律子さんは辺野古新基地に反対し、米軍キャンプ・シュワブのゲート前の座り込みにも参加してきた。「ここでしか味わえない自家製麺やオリジナルスープを食べに来てほしい。そして辺野古の様子を見て、少しでも何かを感じてもらえれば」と思いを語る。(北部報道部・當銘悠)

「Heaven Heaven」を営む水谷律子さん=10日、名護市辺野古

自家製麺とオリジナルのスープにこだわった「よもぎそば」

「Heaven Heaven」を営む水谷律子さん=10日、名護市辺野古 自家製麺とオリジナルのスープにこだわった「よもぎそば」

 水谷さんは神奈川県の厚木基地の近くで育った。低空飛行する機体に恐怖を感じたこともあった。10~20代の頃は名古屋の劇団で女優として活動し、「自分の思いを表現すること」を意識するようになったという。

 その後、東京に移り住んで新たに料理の道を歩み始め、自身のラーメン店をオープンしたが、東日本大震災の原発事故の影響から逃れるため13年、沖縄に移住。目の当たりにしたのは辺野古新基地建設に揺れる沖縄の現状だった。「国が強行するやり方はおかしい。闘いの頭数の一つになれれば」と、当時自宅があった那覇から辺野古や東村高江に足を運ぶようになった。

 娘の留学を機にベルリンへ移り、半年シェフを務めた後、「辺野古に店を構えたい。料理で自分を表現したい」と出店を決めた。

 店舗は自ら内外装を手掛け、半年間かけて施工した。「新基地建設容認・反対、いろいろな立場の人がいるけど、おいしいものは立場も関係ない。国境も人種も利害も上下関係もない。そんな場所にしたい」との思いを店名に込めた。

 メニューは豚骨、昆布、野菜でだしを取ったスープに、よもぎを練り込んだ自家製麺を絡めた「よもぎそば」や、無農薬の島野菜を使った「島野菜カレー」など。木のぬくもりが感じられる店内はテラコッタの床が広がり、窓から太陽の光が差し込む。

 国会前で抗議をしたこともある水谷さん。若者の姿も目にする国会前に比べ、ゲート前にいるのは主に「おじぃ・おばぁが多い」と感じる。日差しの強い日も雨の日も必死で新基地建設反対を訴える姿を見て、「若い人たちにも何かを感じてもらえれば」と話し、仕込みの合間に抗議が続くゲート前にも足を運ぶ。

 「表現者として料理に自分の思いを込めている。料理を通じて人が行き来し、交差する場所にしたい」と店への思いを話している。