米国のジョー・バイデン氏が20日(日本時間21日未明)、第46代大統領に就任する。

 トランプ政権の排外主義的な政策から脱却し、国際協調の再構築を目指す船出となる。

 マイナスからの出発ともいえるが、指導力を発揮し、実現に全力を尽くしてほしい。 バイデン氏は新型コロナウイルス、気候変動、経済、人種格差の4分野を最優先課題に掲げる。

 就任初日から大統領令などを出して、具体的なコロナ対策や、地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」への復帰、イスラム圏からの入国規制破棄など、脱トランプの政策を実行に移す。

 多様性を重視した政治姿勢も特徴だ。副大統領に、女性、黒人、アジア系で初のハリス氏が就任し、内務長官に先住民系として初の閣僚となる女性下院議員のハーランド氏を登用する。

 ホワイトハウスの運営を支える政治任用スタッフも6割が女性になる。白人男性が主要ポストを占めたトランプ政権とは一線を画す。

 一方、「岩盤支持層」と呼ばれる強固なトランプ氏支持者も依然勢いを保っている。地方の白人労働者が多く、失業などに直面し、民主党の社会経済政策に不満を持つ層だ。新政権はこの人たちにどう対応するのか。

 対立、分断した国民を和解に導き、失われた国際社会の信頼を取り戻すのは並大抵ではない。

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 県民の関心事は、バイデン政権の沖縄基地政策だ。

 日本政府は、普天間飛行場の返還は「辺野古が唯一の解決策」の考えを変えておらず、新基地建設計画が継続される見通しだ。

 アジア政策統括を目的に新設する高官ポストに、キャンベル元国務次官補の起用も決まっている。オバマ前政権下で辺野古移設を主導した人物で、新基地建設がさらに強行される可能性も指摘される。

 2017年に米軍ヘリの部品が落ちた宜野湾市の保育園の保護者らは「沖縄の子どもの人権に関わる問題」とバイデン氏に手紙で訴えた。

 住民の命と生活を脅かす基地問題は人権問題だ。

 民主党政権は、人権を軽んじたトランプ政権が、内政を混乱させ、国際批判を浴びる様を見てきたはずだ。

 軍事戦略議論に留めず、人権問題として沖縄の基地問題に向き合うべきだ。

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 県は、来年の復帰50年に向け、在日米軍専用施設面積を現状の70・3%から「50%以下」に減らす数値目標を政府に提示する考えだ。

 この半世紀、同じ議論が繰り返され、基地の整理縮小は県民の望むように進展していない。

 03年、当時のラムズフェルド米国防長官は普天間飛行場を上空から視察して、「世界一危険な米軍施設」と言った。バイデン氏にもぜひ現場を見てほしい。

 玉城県政には、米国の政権交代と復帰50年のタイミングを捉え、沖縄の基地削減へ、具体的戦略を練って、米国と直接交渉を進めてほしい。