沖縄タイムスSDGsプロジェクト MIRAIづくり][美ら海と土壌を守る](上)

河口から海に流れ出る赤土=2018年、東村(おきなわグリーンネットワーク提供)

河口から海に流れ出る赤土=2018年10月、大宜味村(おきなわグリーンネットワーク提供)

河口から海に流れ出る赤土=2018年、東村(おきなわグリーンネットワーク提供) 河口から海に流れ出る赤土=2018年10月、大宜味村(おきなわグリーンネットワーク提供)

 「いまだに年間27万トンもの土壌が沖縄の海に流れ出ている。赤土問題は、まだまだ終わっていない」。海洋汚染を食い止めるため、赤土流出防止に取り組むNPO法人おきなわグリーンネットワークの西原隆理事長は強調する。

 1990年代に社会問題となった赤土による海洋汚染。終戦後から、農地開発や河川改修、米軍基地建設、リゾート開発などの大規模な開発事業が相次いだことで、赤土の流出量が増え続け、深刻化していった。海が真っ赤に染まる景観の悪化だけでなく、サンゴや海藻を死滅させて生態系まで壊していく。養殖モズクの成長を妨げ、被害は水産業にまで広がっていた。

 世論の高まりを受け、県は94年に赤土等流出防止条例を制定。公共、民間にかかわらず、一定規模の大型工事で、斜面にシートをかぶせたり、土砂が流れ出ないように用水路に柵を設けたりするなどの防止対策が義務付けられた。

 流出量は93年の52万1千トンから、2016年には27万1千トンと半分近くまで減り、一定の成果を挙げてきている。ただ、大雨や台風のたびに赤く染まる沿岸部もあり、養殖モズクの被害もまだ残る。

 原因は、流出が最も多い農地の対策が追いついていないからだ。開発事業に規制をかけて流出を抑制できた一方、農地での対策は農家の負担が重くなるため、努力義務となっている。

 西原さんは「農業は天候に左右され、経営も安定しにくい。個人事業主が多く、経営規模の小さい農家に全てを任せるのには無理がある」と説明する。

 開発事業からの赤土流出量が8割減少したのに対し、農地からは3割にとどまる。流出量全体に占める割合は93年の6割から、2016年には8割にまで増加。農地からの流出抑制が課題となっている。

 県や市町村は、農地の周りに植物を植え付けるグリーンベルトや、農閑期の畑にひまわりなどを植えて土壌の流出を防ぐ事業を実施しているが、予算に限りがあり、全ての農地に普及させるのは難しい状況だ。

 おきなわグリーンネットワークは、植え付けを手伝うボランティア募集や、企業からの寄付でグリーンベルトに使う苗の育成などに取り組み、防止対策の普及を後押ししている。

 西原さんは「海洋汚染は止まっていない。農家と行政だけでなく、住民や企業も含めた社会全体で向き合わなければ抑えられない」と訴える。

 持続的な活動につなげるため、クラウドファンディングで資金獲得にも挑戦している。「多くの方に関心を持ってもらい、活動の幅を広げたい」と意気込む。(編集局・照屋剛志)

 沖縄タイムス社はSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの一環として、自社クラウドファンディングサイト「Link-U(リンクユー)」と報道を通して、おきなわグリーンネットワークの事業を応援します。リンクユーにつながるリンクは

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