沖縄県独自の緊急事態宣言が20日、始まった。県は感染予防のため午後8時以降の不要不急の外出自粛を求めているほか、22日からは飲食店などに午後8時までの時短営業を要請。対象となる県内飲食店や遊興施設(バーやスナックなど)は20日、昼間の宅配サービスに乗り出したり、臨時休業を決めたりするなど対応に追われた。宣言期間は2月7日まで。
■宣言発表後に予約キャンセル
那覇市の「神戸BAR仲々」は22日から、宅配事業を手掛けるツボデリを利用して昼食時の宅配サービスを始める。県の宣言発表後、予約が数件キャンセルとなった。仲俊明代表は「午後10時までの時短要請の時は何とか営業できたが、8時に前倒しとなるとかなり厳しい」としつつ、「新たな売り上げを確保しなくては」と前を向く。
県内で居酒屋や回転すしを運営する味自満チェーンは22日から県内7店舗を臨時休業する。担当者は「前回の宣言期間中も客足が大きく落ち込んだ。営業しても経費がかさむので休業して、感染の早期収束につなげたい」と話す。
ステーキや沖縄そば店などを運営するキャプテンズグループも一部店舗の休業を検討中。居酒屋のちぬまんグループは県の時短要請を機に12月以降続けている13店舗の休業延長を決めた。経営幹部は「経済が動かなければ経営が持ちこたえられない。客足が再び戻る日を期待して今は耐えるしかない」と気を吐いた。
■補償なしに不満相次ぐ
「飲食店はもらえて、なぜ?」「実態に沿った支援策を」。県の緊急事態宣言期間が始まった20日、営業時間短縮要請に伴う協力金の給付対象外とされた那覇市の国際通りや石垣市の土産品店からは飲食店以外にも一律の支援を求める声が相次いだ。
「御菓子御殿国際通り松尾店」では通常スタッフ10人のところ3人で接客に当たっていた。伊波清華さん(24)は「お客さんもいないのに働いている。雇ってくれている店には感謝と心苦しさがある」と打ち明ける。土産品店には1日4万円の協力金は支払われない。「手厚い補償があれば安心して働けるのに」と嘆く。
臨時休業店舗も多く、営業日もまちまちだ。「人が少ないのに、ずっと店を開けるわけにはいかない。在庫整理のため商品の賞味期限を見ながら営業しているよ」。そう話すのは土産店アルバイトの60代女性。「飲食店は金がもらえて、土産品屋は金を借りなさいということかね」と不満をこぼした。
「わしたショップ国際通り店」は賞味期限が迫った土産品を半額で販売。男性スタッフは「全部は売れないので廃棄もある。店頭販売だけではもたない」。全国展開する同店はインターネット通販にも力を入れ、コロナ禍を乗り切っている。
■離島の商店街は
石垣市最大の商店街「ユーグレナモール」で観光土産品店を営む根原工さん(46)は地元の人の姿さえ見えない閑散ぶりに嘆息する。昨年末の「Go To トラベル」停止で観光客が激減したところに、緊急事態宣言が追い打ちとなった。
雇用調整助成金を元手に綱渡りの営業を続けるが、期限切れを迎える2月末以降は先が見えないという。県や国の補償の在り方に「同じ商売をやっているのに不公平だ。持続化給付金などと同様に偏らずに補償してほしい」と求めた。