琉球大学大学院医学研究科の研究チームは21日、沖縄県の宮古諸島の住民1240人のゲノム(全遺伝情報)解析を行った結果、宮古島の北東部と南西部、池間・伊良部島の三つの集団に分類されると発表した。比較的狭い地域の住民が複数の集団に分類される事例は、世界的にも報告はないという。池間・伊良部島では、過去の大津波で急激な人口減があったと推定された。

ゲノム解析で明らかになった宮古諸島の3集団

■ゲノム解析で明らかに

 ゲノムは一つの生命体を形成・維持する「生命の設計図」とも呼ばれる。人のゲノムは30~32億個の塩基配列で作られ、99・5%以上は全人類共通。研究では、わずかな個人差のSNP(スニップ)に着目した。

 解析で、沖縄本島と宮古諸島は遺伝学的にそれぞれ独立した集団と確認。親から子へ受け継がれる遺伝情報の個人差の組み合わせから、宮古諸島では三つに分類できると分かった。

 組み合わせの種類は、人口増や時の経過で増えるため、その数によって人口動態も分析できる。シミュレーション解析によって、池間・伊良部はグスク時代に、宮古島(南西部と北東部)は琉球王朝時代前後にそれぞれ、本島集団から分かれたと推定した。

■背景に「人頭税」制度

 人口は、宮古島がほぼ横ばいか増加の一方、種類が少なかった池間・伊良部は約250~300年前に大きな人口減があったと推定。1771年に先島諸島を襲った明和大津波の被害が反映された可能性があるとした。

 宮古島内で集団が分かれたことについて、研究チームの松波雅俊助教は1903年までの税制「人頭税」が背景にあると推測。「地域ごとの移住が制限されていたことが原因の一つとして考えられる」と述べた。

 研究チームの前田士郎教授はゲノム解析で「糖尿病や心臓病のなりやすさなど、ある程度予測が可能」と説明。個人に合った治療法や薬の効き方などの解明にもつながるとし、個別化医療や予防医学分野などへの応用を目指すとした。