沖縄タイムスSDGsプロジェクト MIRAIづくり][美ら海と土壌を守る](中)

畑の周囲に植えたベチバーを紹介するパッションフルーツ農家の金城さん(右)=2020年12月22日、糸満市

 沖縄は、赤土など土壌の粒子が細かい上、雨の強さを示す降雨係数が全国平均の3倍に上り、土壌が流されやすい。平野がなく、河川も短いため、流された土壌は、そのまま海まで行き着いてしまう。県の担当者は「沖縄は、そもそも土壌が海に流れ出やすい環境となっている。赤土流出の防止対策は、農家だけでなく、行政や地域も一体となって取り組む必要がある」と説明する。

 県は、赤土などの海洋流出を防ぐ基本計画を2013年に策定。赤土の流出が多かったり、サンゴが生息したりする22カ所を重点監視海域とし、赤土の流出量や堆積量を計測している。

 重点監視海域のある石垣市や恩納村などの10市町村には、農業環境コーディネーターを置き、農家への対策の導入支援などで普及啓発に力を入れる。

 糸満市では2人のコーディネーターが農家を回り、防止対策の普及に取り組んでいる。環境への意識の高まりから、流出対策を取り入れる農家も増えてきた。

 農家から注目を集めている対策が、畑を植物で囲うグリーンベルト。種子がなく、垂直に伸びるイネ科の植物「ベチバー」は、作物の成長を妨げず、管理もしやすいと評判だ。

 同市内でパッションフルーツを育てる金城健正さんは、12年にグリーンベルトを植え付けた。「堆肥を入れ、耕してきた土壌を雨で流すのは、もったいない」と話す。1年に2回ほどベチバーを刈り取る手間はあるが、敷きわらなどにも再利用でき、「メリットの方が大きい」と言う。

 費用を補助する県の事業への申し込みは、20年度は前年度の2倍の30件に増えた。予算を使い切ったため、21年度まで待たせている農家が10件ある。コーディネーターの金城奨さんは「関心が高まるのはうれしいが、一方で予算には限りがあり、追い付かない」と残念がる。

 赤土流出防止に取り組むNPO法人おきなわグリーンネットワークは企業からボランティアや寄付金を募るなどして、農家へのベチバーの提供や、植え付け支援を続けている。理事長の西原隆さんは「赤土などの流出問題は、県内全域にわたり、水産業や観光業にも影響を与える大きな問題。社会全体で関心を持ってほしい」と強調した。(編集局・照屋剛志)

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 おきなわグリーンネットワークは、沖縄タイムス社のクラウドファンディングサイト「Link-U(リンクユー)」で活動費を募っている。集まった寄付は、グリーンベルト植栽などの防止対策や、子どもたちの環境学習に役立てる。リンクユーへのアクセスはこちら