陸上自衛隊が辺野古新基地に常駐することで在日米海兵隊と極秘合意していた事実は、沖縄タイムスと共同通信の合同取材で判明した。組織の枠を超えて情報を共有し、取材成果を発表する試みになった。

 きっかけはタイムス編集委員の阿部岳記者が入手した情報だった。新基地に自衛隊を配備する計画があるという。事実なら、長く続く辺野古問題の性格を一変させる重大なニュースになる。裏付けには自衛隊中枢の証言が欠かせないが、取材の蓄積がなかった。そこで、面識がある共同通信編集委員の石井暁記者に相談を持ち掛けた。

 防衛省・自衛隊を25年以上取材する石井記者は、前に計画の輪郭をつかんでいた。阿部記者の情報提供を受けて改めて取り組むことにし、異例の合同取材とする了解を社内で得た。

 共同通信は日々記事を配信し、タイムスなどの加盟社が報道に利用する。しかし、記事にする前の1次情報は基本的に共有しない。

 両記者はこの取材に限っては成果を共有し、一緒に情報源の話を聞いた。それぞれ記事を執筆する段階でも、意見交換を重ねた。世界でも近年、合同取材の手法が注目を集めている。国際調査報道ジャーナリスト連合には共同通信を含むメディアが集い、大量の機密文書を分析している。

 タイムスの与那嶺一枝編集局長は「規模は異なるものの、今回は沖縄に根を張るタイムスと政府中枢に取材網を広げる共同通信のそれぞれの強みを生かして連携することができた」と話す。共同通信の配信で、新基地への陸自常駐計画が全国の新聞、放送局にも一斉に伝わった。

 与那嶺局長は「課題が複雑化し、1社だけでは調査報道が難しくなっている。今後も柔軟に積極的に、他のメディアと協力していきたい」と語った。