政府は例によって否定するが、火のないところに煙は立たない、という。思い当たることがいくつも浮かぶ。

 陸上自衛隊と米海兵隊が2015年、陸自の水陸機動団を辺野古新基地に常駐させると、極秘に合意していたことが日米両政府関係者の証言で明らかになった。

 当時の岩田清文陸幕長と在日米海兵隊のニコルソン司令官(在沖米四軍調整官)が常駐に合意した。

 報告を受けた安倍政権の中枢から「計画の存在が広まったら、沖縄の反発は抑えられなくなる」と待ったがかかり、凍結されている状態だという。

 加藤勝信官房長官は25日の記者会見で、「合意や計画があるとは承知していない」と否定した。

 この種の政府説明が、後になって覆されるケースを県民は過去何度も味わってきた。政府が否定しても、疑念は晴れない。

 ニコルソン司令官は17年11月の記者会見で、水陸機動団について「沖縄に配備されるのが望ましい」「非常に期待している」と述べた。

 在沖米海兵隊トップのエリック・スミス司令官も19年3月、朝日新聞のインタビューに答え「我々にとってすばらしいことだ」と答えている。

 陸自にとって米軍演習場の共同使用は沖縄配備以来の念願だった。

 辺野古新基地とキャンプ・シュワブは、普天間飛行場の代替施設としての機能を超えて、日米の軍事一体化を象徴する多角的拠点、として建設されようとしている。

■    ■

 自衛隊は部隊編成、装備、訓練など、いずれの面でも、中国の動きをにらんで「南西シフト」を鮮明に打ち出している。

 離島防衛を主な任務とする水陸機動団が創設されたのは18年3月。部隊の拠点は長崎県佐世保市の相浦(あいのうら)駐屯地に置かれた。

 水陸機動団はこれまで、沖縄の海兵隊と鹿児島県・種子島で離島奪還の共同訓練を行った。フィリピンや米カリフォルニアなどでも共同訓練を重ねている。

 負担軽減の掛け声とは裏腹に、宮古・八重山、沖縄本島、奄美に至るまで軍事化が急速に進む。

 懸念されるのは沖縄が戦場になることを前提にした作戦計画が立てられ、訓練が重ねられていることだ。

 昨年11月、徳之島で行われた大規模な訓練は、同島の防災センターを「野戦病院」と位置付けた戦時の医療訓練だった。

■    ■

 離島が戦場になったとき、住民にどのような事態が起きるか。戦傷者の発生を想定した何とも生々しい訓練は、沖縄戦の女子学徒隊を想起させるものがある。

 沖縄戦で起きたことを沖縄の人々は戦後76年たっても忘れていない。私たちは沖縄が戦場となることを前提にした軍事要塞化に反対する。

 軍事力偏重の安全保障政策は他国との緊張を高め、思わぬ事態を招きかねない。

 沖縄の歴史経験を真に生かすことができるかどうかが、切実に問われている。