新型コロナウイルス感染拡大に伴う県の緊急事態宣言を受け、2月1日から始まるプロ野球キャンプが無観客で実施されることになった。キャンプは沖縄観光の閑散期となる冬場の観光需要を取り込む一大イベントだが、今年は県内ホテルで宿泊予約のキャンセルが続出。関係者は厳しい状況に直面しながらも「今、感染者を出せばホテルの信用に関わる」と、感染対策に力を入れている。(政経部・島袋晋作、仲田佳史)

2019年のキャンプ初日、ランニングで温めるヤクルトの選手たち=2月1日、浦添市民球場

 沖縄本島のあるホテルは、2月の宿泊予約が前年同月比で約7割落ち込んでいる。昨年末からキャンセルが入り、県が緊急事態宣言を検討との報道が出てから急増した。

 ファンと選手との距離の近さがキャンプの魅力だが、担当者は「無観客が決まってからキャンセルが続出した。非常に厳しい」と頭を抱える。

 無観客は宣言が発令されている期間が対象のため、延長されればキャンセルはさらに増えると想定される。同担当者は「このまま下り坂が続けば経営への影響は甚大になる。当初通りの期間で宣言が終わればいいが」と気をもんでいる。

 別のホテルも宿泊予約が50%以上落ち込んでいる。担当者は「1都3県の宣言による打撃もあったが、プロ野球キャンプがあると思って耐えていた。追い打ちをかける事態で経営の根幹を揺るがしかねない」と危機感を強める。

 一方で、宿泊する選手らが万が一感染した場合、ホテルの信用につながりかねないとの危機感もある。

 このホテルでは接客スタッフに対し、家族や同居人以外と極力接触しないよう指示が出ており、自宅とスーパー、職場を往復する日々を送っている。「館内で感染者を出さない対策を徹底している」といい、感染が発覚した場合の隔離や行政機関への連絡体制などのフローチャートを用意して訓練している。

 りゅうぎん総合研究所によると、コロナの影響がなかった2019年春季キャンプの経済効果は141億3100万円。このうち宿泊費や飲食費、グッズ購入費、練習施設などのインフラ整備費などを合わせた直接支出は92億8千万円だった。

 県外からの観客による直接支出が全体の84%と、大きなウエートを占めるが、及川洋平研究員は「今年は県外からの観客はキャンプ実施の全期間を通して大きく減少する見込みで、例年に比べて経済効果は小さくなる」と分析。その上で「今回のキャンプは『今後も継続して実施すること』に重きを置いた対応が求められる」と、コロナ対策の重要性を説いた。