社説

社説[コロナワクチン接種]混乱招かぬ態勢整えよ

2021年1月27日 07:12

 新型コロナウイルス感染症の収束への切り札とされるワクチン接種が、国内でも始まる見通しとなった。

 政府の計画では2月下旬から、同意を得た医療従事者約1万人に先行接種する。3月中旬には、新型コロナ患者の診療や搬送に関わる医療従事者へ接種を始める。続いて下旬から、65歳以上の高齢者に接種する計画だ。

 65歳未満はその後で、まず心臓病や呼吸器の病気など持病がある人が優先される。

 接種の実施主体となるのは全国の自治体だ。県は15日付でワクチン対策チームを発足させた。那覇市も2月1日、市保健所内にコロナワクチン接種推進室(仮称)を設置する方針だ。

 自治体にとっては、経験したことのない大事業となる。

 コロナ禍でただでさえ医療提供体制が逼(ひっ)迫(ぱく)する中、接種に携わる医療スタッフを確保するのは容易ではない。

 都道府県庁所在地の自治体に対する共同通信の調査では、那覇市を含め8割が「医師や看護師の確保」を主要課題に挙げた。集団接種の場合は広い会場の確保も必要だ。

 さらにワクチンの扱いの複雑さが、接種の実務をより困難にしている。

 県内でも提供される可能性が高い米製薬大手ファイザー製のワクチンは、マイナス75度の超低温での保管が必要となる。しかも、解凍すれば接種千回分以上を速やかに使い切らなければならない。

 離島の住民を含めて1人計2回の接種を安全で円滑に進めるには、国と県、市町村が緊密に連携する必要がある。

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 接種までの流れは、まず、市区町村の発行する「接種券」が郵送で届く。住民は接種できる医療機関や会場を選び予約するという。

 気掛かりなのは高齢者だ。自分で予約し会場に足を運べるか。適切な日数を空けて2回目も受けられるか。不安に感じる高齢者は多いはずだ。きめ細かい支援が求められる。

 行政や医師会、医療機関だけでなく、地域の各種団体の協力も必要になってくるだろう。希望した人が混乱なく接種できるよう態勢を整えて総力戦で取り組むべきだ。

 菅義偉首相は、接種状況を管理するためマイナンバー活用も含めた仕組みを検討すると表明した。

 住民の接種状況を把握し自治体と共有するシステムは政府が開発する方針だというのに、なぜマイナンバーとつなぐ必要があるのか唐突感が否めない。政府の役割は、実務を担う自治体が円滑に作業できるよう財政面を含めて手助けすることだ。

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 人工遺伝子など新技術が活用されたワクチンは、予期せぬ副作用が起きる恐れがある。安全面に不安を感じている人は少なくない。

 昨年10月の国際調査では、接種に「同意する」とした人の割合が日本は69%で、調査対象15カ国の平均を下回った。

 接種は「努力義務」の位置付けであり強制ではない。納得して接種してもらうには、政府は副作用情報があれば積極的に情報を公開し、丁寧に説明することが求められる。

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