社説

社説[宮古コロナ感染急増]病床確保へ支援を急げ

2021年1月28日 05:00

 宮古島市で新型コロナウイルスの感染者が急増している。26日に過去最多の34人の感染が確認され、翌27日も33人に上った。

 就任したばかりの座喜味一幸市長は「事実上の市の緊急事態宣言」と危機感をあらわにし、市内の公共施設の閉鎖や島外との往来自粛、不要不急の外出自粛などを呼び掛けた。28日からは市内の幼稚園・小中学校も一斉に休校となる。

 直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は201・4人(27日時点)。県全体の38・5人を大きく上回り、都道府県別で全国最多の東京(54・5人)の4倍近くになる。医療資源が限られる離島の感染状況としては、一刻の猶予も許されない危機的事態と言っていい。

 中でも深刻なのは、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)である。県立宮古病院は26日から2月1日まで一般外来を中止する。さらに新型コロナ患者が増え、重症者が多く出るようなら、中止期間の延長など影響は避けられない。

 一時満床になったコロナ病床は増床したものの、27日時点で47床のうち42床が埋まっている。さらなる増床も検討しているが、重症者に対応する集中治療室(ICU)は4床だけ。このまま感染拡大傾向が続けば、本島への患者搬送も視野に入る。

 看護師不足を補うため、県は看護師8人を派遣し、追加も検討している。厚生労働省もクラスター(感染者集団)対策に当たる職員を送った。療養ホテルの確保も含め、医療体制の継続に向け、国や県の手厚い支援が急務だ。

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 感染の広がりに伴い、宮古病院にはPCR検査を受ける人が殺到し、病院に向かう道で長い車列ができた。島内の緊迫感が伝わってくる。

 高齢者施設でクラスターが発生するなど、65歳以上の感染者が多いのも特徴。入院せず、施設内で経過観察している人は20人以上いる。全国的には入院せず療養中に容体が急変する事例も相次ぎ、予断を許さない。

 本来、離島の感染拡大を防ぐには水際対策が鍵を握る。しかし、既に市中感染が広がっている現状では、感染を減少に転じさせる効果は望めない。社会経済活動を抑制し、人と人の接触を可能な限り減らすなど、より強い措置を取らざるを得ないのではないか。その場合、営業を自粛した飲食店などへの手厚い補償も並行して実施する必要がある。

 医療の危機的状況を理解し、住民一人一人が感染拡大を抑える行動を取ってもらいたい。

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 陸続きで、人やモノが行き交う県外と比べ、島しょ県・沖縄の非常時の備えは性質が異なる。比較的大きな沖縄本島からさらに離れた島々が点在する。そこに住む人々の命と暮らしをどう守るのか、行政の責務と言えよう。

 医師1人の診療所しかないという島も少なくない。コロナ集団感染といった緊急事態に、必要な物資や人員をどう確保し、届けるのか。関係機関による徹底した議論と準備が不可欠だ。

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