社説

社説[観光客最大落ち込み]危機乗り切る戦略示せ

2021年1月29日 07:14

 基幹産業である観光業がかつて経験したことがない苦境に陥っている。

 新型コロナウイルス感染拡大による影響で、2020年に沖縄を訪れた観光客は前年比63・2%減の373万6600人で、過去最大の落ち込みとなった。旅行自粛やクルーズ船寄港のキャンセル、航空路線の減便・運休などが大きく響いた。

 裾野が広い産業だけにホテルや旅行社、観光施設、土産品店など関連業界に及ぼすダメージは計り知れない。

 県ホテル協会によると、20日に県が出した緊急事態宣言を受け、休業または休業を予定しているホテルは4割。すでに休業しているホテルは2割となった。客室稼働率も20%前後と低迷する見込みで、深刻さは増すばかりだ。

 解雇を含めた人員整理もせざるを得ない状況で、雇用調整しているまたは今後予定しているホテルは6割に上る。

 出勤日数の制限や営業時間の短縮、レストランやショップなどの一部施設を休業するなど必要最低限の対応で運営を続けている。

 経営者からは「観光産業全体に営業補償をしてほしい」など悲痛な訴えが続く。

 「第3波」の収束が見通せない中、県経済の屋台骨をどう支えていくか。観光業界は時短営業の対象ではないため協力金はでない。業種を特定しない国の新たな制度の創設や厳しさを踏まえた思いきった施策が不可欠だ。

 県も基幹産業を守るという視点に立ち、施設の規模や体力に応じた補償、支援策に乗り出してもらいたい。

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 コロナ後を見据え、手元資金の確保に急ぐ動きも出始めている。

 県内大手旅行社は所有する土地とビルを売却。主力の旅行サービスやレンタカー事業が打撃を受ける中、手元資金を厚くし、経営基盤を固める狙いがある。

 百貨店や旅行サービスなどを手掛ける大手小売りは、ホテルが入居する複合ビルを県外企業に売却した。コロナの影響で急変する商環境に備えた。大手ホテルも長引く経営へのダメージで、入居施設からの撤退方針を決めた。

 あるホテル経営者は「中小はもっと厳しい。1年はなんとか踏ん張れると思ったが、2年となると、これ以上もたないかもしれない」と危機感を募らせる。休業しても維持費はかさむ。借り入れでつなぐが、返済がのしかかる-。

 先が見えない危機にどう備えるかは企業努力だけでは限界もある。

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 観光は県経済発展の大きな柱である。コロナの打撃から再生するためには、沖縄観光の課題を含めた新しい戦略が欠かせない。

 そのためにも、県は22年度以降に始まる次期沖縄振興計画にしっかり位置付けて、県経済をけん引する主力産業に育て上げる理念と施策を示すべきではないか。

 コロナ禍で観光を取り巻く環境が激変する中、沖縄のポテンシャルをいかに示し、再生の道筋を描けるか。離島県が抱える不利性も優位性も含めた主体的な施策の提案が再生の鍵を握る。

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