「進路なき卒業」で懸念されるのは、人生の目標を見失い、社会から孤立することである。公的機関につなぐための実態調査が必要だ。

 昨年3月に中学を卒業し、進学も就職もしていない進路未決定者が233人に上り、全卒業者の1・4%を占めていたことが分かった。全国平均の2倍に当たる、全国一高い数値だ。

 県内では以前から指摘されている問題である。

 2019年と比べ0・3ポイント減り、減少傾向にあるとはいえ、深刻な状況に変わりはない。

 進学先が決まらず悩んでいるのだろうか。就職先が見つからず焦っているのではないか。学力や家庭の経済的事情も関係しているのかもしれない。

 気になったのは、この問題が取り上げられた県議会の特別委員会で金城弘昌教育長が進路未決定者のその後について「把握していない」と答えたことだ。

 公教育から離れた若者をそのまま放っておけば、進学や就職に必要な情報が届かず、その後の人生に影響を及ぼしかねない。

 社会との接点を失えば、ニートやひきこもり状態になったりするケースもあるという。

 16年度から6年計画で続く県子どもの貧困対策には「学校とハローワークや子ども若者みらい相談プラザなどと情報を共有し、支援につなげる」と書かれている。

 学校を軸に、進路未決定者の現状把握に努め、必要な支援策を講じてもらいたい。

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 高校卒業後の進路未決定者は1797人で、全卒業者の12・4%に達している。全国平均の約2・7倍に上り、こちらも都道府県別で一番高い。

 未決定者の中には大学浪人生もおり、一人一人の理由を詳しく見ていく必要がある。ただこれだけ突出して高い状況は、そのままにしておけない。

 決して無関係でないと思われるのが、県内の高校生の不登校や中途退学の比率だ。千人当たりに占める不登校の割合は全国最多、中退率も全国平均の約2倍で最も高くなっている。

 学力の未定着、目的意識の低さ、経済的理由などが影響しているといわれるが、「生きづらさ」の原因は自己責任論が幅を利かせる社会の側にもあるのではないか。

 不登校や中退の課題も合わせ、背景を丁寧に分析しなければならない。 

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 子どもの貧困対策では、日々、子どもたちと接する学校を「プラットフォーム」として位置付け、何らかの支援につなげる取り組みが進んでいる。

 孤立に陥りがちな進路未決定者に対しても、社会参加の窓口としての学校の役割が重要となってくる。

 病気や家族の問題といった複合的な課題にも対応しながら、医療や福祉の専門家につなげていく連携が欠かせない。

 学校を離れても関わり続ける「見守り支援」に力を入れてほしい。