県内で長年しのぎを削ってきたライバル行同士が手を結んだ。

 琉球銀行と沖縄銀行は包括業務提携を締結したと発表した。現金配送やATMの共同化などを検討する。業務の効率化を図り、3年間で計20億円の経費削減を目指す。

 両行はコスト削減で生み出された経営資源を、取引先支援など県経済の再生に役立てる考えを示している。

 県経済はコロナ禍で、屋台骨の観光業が打撃を受け、かつてない苦境にあえいでいる。業績回復には時間がかかるとみられ、企業には「コロナ後」の社会の変化やデジタル化への対応も求められる。

 地方銀行は地域経済の核であり、両行は危機感を持って迅速に動いた。資金繰りを支えるだけでなく、経営改善や事業承継などの課題を解決するコンサルティング力も協力して発揮すれば、経済再生の大きな力となる。企業の下支えに貢献してもらいたい。

 一方で業務提携の背景には、地銀を取り巻く環境の厳しさがある。

 日銀のマイナス金利政策で地銀は預金と融資の金利差である「利ざや」を確保しにくくなっている。そこにコロナ禍が追い打ちをかけ、銀行の業績に影響を及ぼしている。

 県内3行の2021年3月期中間決算(20年4~9月)は、企業の業績悪化に伴い、貸し倒れリスクに対応する与信関係費用の合計が前年同期比で1・7倍に膨らんだ。コスト削減の必要性は、より高まっている。

 業務提携が県経済の回復に寄与できるかは、両行が経営基盤を強化でき、万全の態勢を整えられるかが鍵となる。

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 気になるのは、業務提携が将来的な経営統合につながるかどうかだ。

 琉銀の川上康頭取は「今後の経営統合に向けたものではない」、沖銀の山城正保頭取も「現時点で考えていないし、将来的にもない」と記者会見で否定した。経営の独立性は維持する方針という。

 顧客の中には統合に動きだすのではないかと不安に感じる人もいるはずだ。丁寧な説明が求められる。

 菅義偉首相は地銀再編を持論としている。呼応して政府・日銀は、地銀や信用金庫の経営統合を後押しする異例の政策を決定し、再編機運が一気に高まった。

 ただ、全国地方銀行協会の大矢恭好会長(横浜銀行頭取)が昨年11月の会見で述べたように「再編や経営統合が体質を強化する唯一の解ではない」のは明らかだ。

 経営改善に何が必要かは、それぞれの銀行が考え結論を出すべきである。

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 県内では15年に進出した鹿児島銀行が徐々に存在感を高めており、金融機関同士の競争が激化している。

 事務の効率化の議論には当初、沖縄海邦銀行も加わっていたという。琉銀と沖銀は今回の提携は海銀を排除するものではない、と説明しており海銀の動向が注目される。

 地銀の経営戦略は地域経済にも影響を与える。健全な競争が損なわれず、顧客サービスの向上につながるよう期待したい。