[新型コロナ 沖縄の今]
新型コロナウイルス感染拡大で沖縄県の緊急事態宣言が発令される中、浦添市長選は31日告示、2月7日投開票と目前に迫る。立候補を予定する現職の松本哲治さん(53)、新人で市議の伊礼悠記さん(38)の両陣営は、総決起大会を無観衆で実施したり延期を余儀なくされたりと、従来とは違う選挙戦に苦慮している。
松本陣営は21日、アイム・ユニバースてだこホール大ホールで「無観客総決起大会」を開催。その様子を動画撮影し、翌日インターネット上で公開した。観衆の数を絞って開催予定だったが、年明け以降増え続ける感染者を考慮し異例の「無観衆」に踏み切った。
撮影スタッフを最小限にし、松本さんらは舞台上から空席の中に配置されたカメラに向かって演説した。
神田剛本部長は「いつもなら観衆の盛り上がりを感じ話者も熱気を帯びてくるが、無観衆だとそれがない」と首を振る。事務所でも入室前のアルコール消毒、検温、マスク着用など感染対策を徹底し「初めて尽くしの選挙」だという。
伊礼陣営も、政策発表は出席者や記者との間隔を空けるため広い会場を選択。総決起集会として街頭演説会を17日に予定していたが、県の緊急事態宣言が決まり中止に。試行錯誤の末、告示2日前の29日に本人の訴えをメインにした上で、街頭での決起集会を簡略化し開くなど四苦八苦。
事務所入室前には氏名、連絡先、訪問日時を記入し、検温、アルコール消毒、マスク着用も必須。人との接触が難しい中で、電話や会員制交流サイト(SNS)を活用するなど、活動は抑制されている。当山勝利代表は「コロナ禍の影響は不透明だ」と話す。
宮古島市では市長選での活動が感染を広げた可能性が指摘されており、神田本部長は同市の状況に「一層、気が引き締まった」と語る。事務所にサーモグラフィーカメラ2台を導入するなど対策を強化。会議では「選挙後も気を付けよう」と呼び掛けたという。
当山代表は「報道を見る限り、飲食時に最も注意が必要だ」として、食事は対面でしない、話さないなどとスタッフらに念押し。「対策は徹底しているが、さらに気を付けなければ」と気を引き締めた。(社会部・宮里美紀、勝浦大輔)