県は2022年度以降の次期沖縄振興計画の骨子案をまとめ発表した。

 復帰50年という節目から次の10年を見据えた計画である。コロナ後の大転換期への対応が求められるが、全体的には振興手法などの継続・踏襲が目立ち、新しさに欠ける印象だ。制度改革への強い意志は感じられない。

 昨年1年間に沖縄を訪れた観光客が400万人を割るなど、新型コロナウイルスの感染拡大により、県経済はかつてない危機に直面している。

 骨子案は、コロナ危機による課題に対し「『安全・安心の島』実現と新しい生活様式への対応」「強靱(きょうじん)で持続可能な社会・経済の構築」を打ち出す。

 危機的状況はさまざまな分野に及び、コロナ前の軌道に早急に戻すことが次期振計の最優先課題である。 

 特に非正規労働者ら立場の弱い人たちが追い込まれており、対策は待ったなしだ。

 経済再生のための「釣り具(制度)」をどう考えているのだろうか。

 SDGs(持続可能な開発目標)の推進を前面に「持続可能な沖縄の発展」「誰一人取り残さない社会」を掲げたことは、これまでにない特徴といえる。

 脱炭素島しょ社会の実現や生物多様性の保全、子どもの貧困解消など、SDGsを取り入れた施策も随所に盛り込まれている。

 国際社会の共通目標でもあるSDGsの理念に異論はない。お題目を並べただけで終わらせないためにも、目標実現に向け、具体的計画に落とし込んでいく作業が求められる。

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 骨子案では高率補助制度や一括交付金などの特別措置について「沖縄振興を推進する上で有効に機能している」として肯定的にとらえている。

 しかし自由度が高いと鳴り物入りで導入された一括交付金は、新基地建設に反対する翁長雄志、玉城デニー両知事の下で減らされ続けている。

 逆に県を通さずに国から市町村に直接、流れる特定事業推進費は額を増やし続けている。

 基地再編を認めるかどうかを「踏み絵」のように使い、予算を増減させるのは、沖縄振興を歪(ゆが)める。

 一括交付金の減額に対し政府は当初「低い執行率」を理由にあげていたが、改善されているのも事実だ。

 県の自主性を封じ込めるようなやり方は、制度創設の趣旨にも反する。振興体制の歪みを正す機会でもある。

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 基地負担の軽減に向け骨子案は、日米両政府と県による三者協議の場「SACWO(サコワ)」の設置を盛り込んでいる。

 基地の存在は住民生活や土地利用のあり方などに直接影響を与える。基地再編にあたって住民の意向を聴取し、合意を得るのは当然だ。

 2018年に実施された県民意識調査では、県民の7割近くが米軍基地の集中を「差別的」と答えた。名護市辺野古の新基地建設を巡る県民投票では、埋め立てに「反対」する人が7割超を占めた。

 地元意見の反映が計画の大前提である。