沖縄県出身で県内在住の漫画家、なかいま強さんが、南風原町を舞台にした漫画「南風原カーリングストーンズ」を「ビッグコミック」(小学館)で連載している。町宮平にあるスポーツ施設「サザンヒル」のアイススケートリンクで、地元の青年たちが北海道の女性にカーリングを教わり、その面白さを知って夢を描いていく物語だ。(社会部・城間有)
なかいまさんが沖縄の主人公を描くのは「わたるがぴゅん!」(1984~2004年)以来2作目。沖縄とスポーツの魅力を笑いと共に伝えてきたなかいまさんは「南風原とカーリングを好きになってもらいたい」と話す。
「南風原-」は、北海道で挫折した女子カーリング選手の直歩(なほ)が、復活を目指し沖縄でチームをつくろうとする。客が少ないアイススケート場に、その日暮らしをしている辰平や目標を見失った羊平、不登校の尚人らが集い、カーリングの面白さに目覚めて目標を掲げていく。複雑な戦略など、なかいまさん自身がとりこになったカーリングの魅力が紹介されている。
「わたる-」は東京を舞台にした野球漫画。沖縄出身の主人公たちが大活躍する内容が人気を得た。連載を始めたのは日本復帰から十数年後。沖縄の「肌触りだけでも伝えたい」と、漫画の中に「ワジワジー」「がっぱい」などウチナーンチュにおなじみの単語をちりばめ、沖縄でも大受けした。
「南風原-」では逆に、本土の人間が沖縄で奮闘する。「わたる-」から20年近くたち、沖縄の文化も全国的に知られるようになった。セリフそのものがシマクトゥバだったり、建物や上空を飛ぶオスプレイなど、沖縄のにおいをより強く感じる風景が描かれる。
沖縄生まれのなかいまさんは小、中学校と和歌山県で育った。高校から大学1年生まで沖縄で過ごし上京。「自分は根なし草のようだ」との思いを胸に「沖縄に恋い焦がれ」ながらも両方の立場が理解できることを強みにして、沖縄と本土を漫画でつないできた。
拠点を沖縄に移し20年以上。沖縄の人は拒絶せず、本土の人は蔑視せず、コミュニケーションすることが理想だという。「平等な立場で社会をつくっていくためには、お互いに興味を持って、理解して、好きになることなのかなと思う」。
連載は2年目に入った。「カーリングと南風原の青年たちを好きになって、応援してほしい」と話した。単行本は3巻まで発売中。各591円(税抜き)。
(写図説明)なかいま強『南風原カーリングストーンズ』