原告(沖縄県)の請求を棄却する。

 県は、サンゴの特別採捕許可について、標準処理期間を45日間と定める。農水相の是正の指示の時点で、すでに2019年4月26日付の申請から199日、19年7月22日付の申請から145日が経過していた。

 同種の許可申請では、長くとも40日で許可処分がされていることなどを考慮すれば、何らかの処分をすべき「相当の期間」は経過しており、同時点までに何らの処分もしない県の不作為は違法である。

 また、基準に適合する申請を許可しないことは、それを正当化する特段の事情がない限り、漁業法及び水産資源保護法により委ねられた裁量権の逸脱または乱用に当たる。

 沖縄防衛局は、埋め立て工事で生息場所を失うサンゴ類を他の海域に移植して避難させる方針を示し、当時の仲井真弘多知事は、環境保全措置も踏まえて埋め立てを承認した。埋め立てが実施される場合、生息場所を失い、死滅することが避けられず、本件サンゴ類の保護培養を図るためには他の海域への移植、避難が不可欠となる。

 埋め立て承認後、大浦湾側の海域の大半が軟弱地盤で、設計概要の変更承認を受けて地盤改良工事を経た上でなければ、埋め立て工事を施工することが技術的に不可能な状況であることが判明している。しかし、防衛局は将来的に設計概要の変更承認を受けて実施する予定で、その他は設計概要どおりの内容で施工できる部分に限り、変更承認に先立って施工することは法律上は可能だ。

 工事のうちK8護岸及びN2護岸の造成工事は、軟弱地盤の上で施工されるものではない。防衛局も、先立って施工する方針を示していた。知事はこの工事が実施される前提で許否を判断する必要があり、是正の指示の時点で、必要性基準に適合しないと判断することは、裁量権の逸脱または乱用に当たる。

 サンゴ採捕が水産資源の保護培養等に資するものであることは明らかで、各申請が妥当性等基準に適合しないとしてこれを不許可とすることも、裁量権の逸脱または乱用に当たる。

 防衛局がサンゴ類の移植の内容や方法を示し、当時の仲井真知事が承認している。サンゴ類の移植技術がいまだ不十分。この2点をかんがみると、知事の裁量権を考慮しても、(1)防衛局の方針に則し、(2)同種の許可事例と比べて同等ないしそれ以上に手厚く、さらに(3)サンゴ類の移植に関する専門的、技術的知見に照らし不合理とはいえず、妥当性基準に適合しないと判断することは裁量権の逸脱または乱用に当たる。

 知事は、地方自治体が判断する前に「許可しなさい」と特定の処分を求めることは許されない旨主張する。しかし、是正の指示の時点までに何らの処分もしないという不作為が違法のみならず、許可処分をしないという点においても違法な状態にあった。

 違法な状態を是正するためには、何らかの処分をするよう求めるのみならず、「許可処分」を求める必要があったということができる。農水相がこのような事情の下で、「許可しなさい」と是正の指示をすることは適法である。