再生可能エネルギー装置の技術開発を手掛ける音力発電(神奈川県、速水浩平代表)は2022年夏にも沖縄県久米島町で波力発電機の実証実験を始める。火力発電で使用する重油の輸送でコストが高くつく離島地域で、波力を利用した新たな発電方式を生み出してコストの削減につなげる。沖縄電力や町との調整を経て23年の実用化を目指しており、全国の他の離島にも広げる。(政経部・仲田佳史)

音力発電が遠隔監視の実証実験で使用した小型波力発電機=5日、久米島町の具志川漁港(糺の森提供)

波力発電機の遠隔監視の仕組み

音力発電が遠隔監視の実証実験で使用した小型波力発電機=5日、久米島町の具志川漁港(糺の森提供) 波力発電機の遠隔監視の仕組み

 音力発電が開発中の波力発電機は波の動きによって、装置につながれた浮きが海面で上下し、密閉された容器内の特殊な水を上部に押し上げる仕組み。その水を落下させて、タービンを回して発電する。音力発電によると、装置内で水が循環する波力発電機はこれまでに例がなく、実用化されれば世界初という。

 大きさは縦20メートル横30メートル高さ20メートルの台形型で、漁船2~3隻分に相当する。最大出力は330キロワット。400~600戸分の電力を賄うことができる。設置費用は数億円。10年間で回収を見込んでいる。

 一般的な波力発電機はフジツボなどの海洋生物が付着して故障したり、台風の高波で破損したりする課題がある。

 音力発電の装置は発電装置の内部が海水に触れない仕組みとなっているため、海洋生物の付着が防げるほか、台形で高波を真正面から受けない仕組みになっている。

 再エネで最も普及している太陽光発電と比べて、24時間365日の発電が可能。年間発電量は2メガワットの太陽光発電に相当するため、再エネの新たな形として普及を目指す。久米島町は再エネで電力需要を賄う計画を持っているため、町の協力を得ながら進める方針。

 22年の実証実験に向け、音力発電は5、6の両日、久米島町の具志川漁港で、簡易で小型の波力発電機を使って遠隔監視の実証実験をした。発電機を運用する際に、強風で発電機が傾いたり、流木が装置内に入り込んで故障したりしていないかを調べるのが目的。発電量や振動、気温といったデジタルデータを発電機から発信し、1・4キロ離れた陸側の受信機に届くかを確認した。

 速水代表は「波力エネルギーは日本のどこでも利用できる純国産のエネルギー。脱炭素社会の実現に必要不可欠な技術として全国の港に普及させたい」と述べた。