中国の沿岸警備部隊「海警局」に武器使用を認める海警法が1日に施行され、政府や防衛省、領海警備に当たる海上保安庁関係者に静かな緊張が走っている。ある海保幹部は「すぐに事態が急変することはないだろうが、今後の偶発的衝突リスクはゼロではない」と言う。一方、地元漁師は一部を除き、尖閣海域へ行く者はいない。漁業関係者は「中国の脅威は分かるが、政府には冷静な対応を求めたい」と訴える。(社会部・城間陽介、八重山支局・粟国祥輔、東京報道部・嘉良謙太朗)
昨年5~12月、海警局の船舶2隻が尖閣周辺の領海内で漁をしていた日本漁船を追尾する事案が計8件発生した。漁船と海警船の間隔は600~1000メートル。海上保安庁の巡視船が間に割って入るなどして対処した。
海保側の資料によると、追尾した海警船は尖閣諸島の魚釣島・久場島エリアと、大正島エリアのそれぞれの領海に侵入を繰り返している。これまでも漁船の追尾事案はあったが、第11管区海上保安本部は「昨年は様子が違った」としている。
10月11~13日には、海警船の領海内滞在が最長の57時間超を記録。接続水域内への進入(確認)日数も1年間で333日と最多だった。
■ ■
「緊迫の海」はナショナリズムを刺激する。地元の八重山漁協には「尖閣諸島の実効支配を示すため、ぜひあそこで漁をしてほしい」と一般市民から要望が届くという。...