【東京】中国海警局に武器使用を認めた海警法の施行を受け、自民党内から政府に外交発信や法整備による対抗策を強化するよう求める声が相次いでいる。背景にあるのは、尖閣諸島周辺で活発化する中国の活動だ。政府も「国際秩序を揺るがしかねない」(防衛省幹部)と警戒を強めており、答弁内容にも変化が生じ始めた。

尖閣諸島周辺の接続水域を航行する中国海警局の艦船=2020年11月(第11管区海上保安本部提供)

 1日に施行された海警法では、武器使用に加え、中央軍事委員会の命令で防衛作戦任務を担うことも明記。同法を適用する「管轄海域」の具体的な説明もなく曖昧だ。党国防族議員は「1段階ステージを上げてきた」と危惧する。

■外交発信や法整備

 9日に開かれた自民党の外交・国防両部会などの合同会合。出席議員からは、政府に外交発信や法整備による強い対抗措置を求める意見が相次いだ。

 佐藤正久外交部会長は会合後、記者団に「議員の問題意識と政府答弁に乖離(かいり)があると言わざるを得ない」と述べ、今後も政府と認識を擦り合わせていく考えを示した。

 こうした懸念を有しているのは自民党だけではない。8日の衆院予算委員会で、国民民主党会派に所属する井上一徳氏(無所属)は「法施行で尖閣を巡る次元が変わった」と指摘し、強い姿勢を示すべきだと訴えた。

■大臣の発言に変化

 こうした中、政府答弁にも変化が生じてきた。

 岸信夫防衛相は9日、米国のヤング駐日臨時代理大使との会談で、法施行に関し「大きな疑念を有しており、断じて受け入れられない」と述べ、中国をけん制した。

 茂木敏充外相も同日の記者会見で、海警局の活動を「国際法違反」と明言。法施行について「深刻に懸念している」と語った。

 政府はこれまで同法に関し「国際法に反する形で適用されることがあってはならない」などと述べており、批判の表現を強めたと言えそうだ。

 ただ、日本側が先に軍事力を行使したと捉えられれば、中国に軍進出の口実を与えかねず、「事態をエスカレートさせず、国際世論を味方につけていくべきだ」(防衛省関係者)と慎重な声もある。(東京報道部・嘉良謙太朗)