沖縄県立高校で運動部主将を務めた2年の男子生徒が1月末、自ら命を絶ったことが15日までに分かった。遺族や学校への取材から、部活動顧問の男性教諭による日常的な厳しい叱責(しっせき)が原因だった可能性がある。顧問は生徒の死の前日も帰宅が早いととがめ「キャプテンやめろ」と叱責していた。校長と顧問は2月6日、遺族宅を訪れ「指導が間違っていた」と謝罪した。

子どもや保護者らの主な相談窓口

■学校、調査結果を提出

 学校は顧問への聞き取りや部員、生徒へのアンケートなどをまとめた調査結果を6日付で県教育委員会に提出。県教委は15日、弁護士や公認心理士でつくる第三者チームを立ち上げた。部活指導の在り方や自殺の背景などの調査を経て、3月上旬に報告を受ける。

 学校や県教委によると、部員らへのアンケートで生徒が顧問から「キャプテンを辞めろ」「部活を辞めろ」などの厳しい言葉を日常的に浴びせられていたことが判明。生徒が大会で好成績を収めた際も、顧問は「まぐれだ」と言ったほか、部活動の関係者によると「使えない」「気持ち悪い」「カス」などの言葉もあったという。

 顧問は本紙取材に「キャプテン辞めろ」と言ったことを認めたが、それ以外については「私はそんな言葉を使わない」と否定した。

 一方で、生徒が自殺した前日の夕方も後輩の前で生徒を叱(しか)ったことを明らかにした。当日は午後7時から外部での練習があり、その前に夕食を食べるため、同5時半に下校しようとした生徒を「キャプテンなのに、どうしてこんなに早く行くの。キャプテンをやめろ」と叱責したという。

 遺族によるとその夜、生徒は自宅で泣きながら練習していたという。翌日、登校し授業は受けたが部活動には参加せず、一度帰宅後、外出し命を絶った。

 遺族は、生徒が一昨年の大会でミスし成績が振るわなかった際、顧問から死に結び付く行動を促す言葉を投げ掛けられたと話した。

 顧問はそのような言葉は「言っていない」と否定し「(生徒の)自殺の原因の8割は部活にある。他の部員に対しても同様に、強くなって、頑張って勝ってほしいと指導していた。申し訳ないと心の底から思っている」と声を落とした。

 学校は「指導で暴言を吐いていたことは知らなかった。厳しい指導が自殺につながったのではないか」としている。県教委は学校にカウンセラーを派遣し生徒の心のケアに努めている。

■厳しさ増した指導

 取材に応じた遺族は、生徒が愛用していた部活着とほほ笑む遺影を前に「明るくて自慢の息子だった。今も信じられない」と悲しみに暮れた。「死を選ぶような学校、部活動があってはならない」と涙を浮かべ、学校や県教育委員会側に真相の解明を訴える。

 遺族によると、生徒は兄の影響で小学校1年から競技を始め、夢中になった。県内外の大会で活躍し、自宅に賞状やトロフィーがずらりと並ぶほどの実力者。子どもの頃から知っていた男性顧問に誘われ顧問が勤める高校へ推薦入学した。

 入学後、顧問の生徒に対する指導は厳しくなった。2年生で主将になってからは、顧問と直接電話やメッセージのやりとりをするように。電話を取らないと怒られるからと、ワイヤレスイヤホンを自宅でも身につけ「食事中も外さなかった」という。

 生徒は母親に「どうやったら怒られないかな」と相談していたこともあり、昨年9月、「試合が終わったら、部活を辞めたい」と言ってきたという。生徒が自ら命を絶った日の早朝は「学校を休みたい」と言いながら、登校。夜、救急車で運ばれた生徒のポケットには「出来の悪い息子でごめんね」と書かれた遺書があった。

 両親は「教育は人を育てるためにある。言葉で人を死なせてはいけない。二度と起こらないよう、ちゃんと調べてほしい」と声を震わせながら訴える。「頑張ったね。もう何も言われることないから、今はゆっくり休んで」とあふれる涙をふきながら、遺影につぶやいた。

【主な相談窓口】

●沖縄いのちの電話

 電話098(888)4343(毎日午前10時~午後11時)

●県立総合精神保健福祉センター「こころの電話」

 電話098(888)1450(月・水・木・金曜日午前9時~11時半、午後1時~4時半)