「お客さんのために、店を閉めるわけにはいかない」。新型コロナウイルスの沖縄県独自の緊急事態宣言が続く中、市内にある24時間営業の弁当屋は、通常通り営業を続けている。タクシー運転手や工事作業員、遊興施設の従業員-。夜間に働く人たちの胃袋を満たし続ける二つの店舗に思いを聞いた。(中部報道部・豊島鉄博)

一丁目ストアーで深夜に働く従業員ら。深夜帯でも多くの弁当やサンドイッチなどが並ぶ=10日、沖縄市上地

年中無休で営業を続ける、吉元弁当の吉元るみ子さん=1月28日、沖縄市上地

一丁目ストアーで深夜に働く従業員ら。深夜帯でも多くの弁当やサンドイッチなどが並ぶ=10日、沖縄市上地 年中無休で営業を続ける、吉元弁当の吉元るみ子さん=1月28日、沖縄市上地

 市内随一の繁華街「中の町」近くで60年以上営まれている「一丁目ストアー」は、定休日の日曜以外、24時間営業を続けている。弁当は350~500円と安価で、サンドイッチやハンバーガー、タコスのミンチとチーズが入った「ライスボール」など、軽食も充実している。

 「以前と比べると夜は全然お客さんは来ない。それでも買いに来てくれる常連さんのために閉めるわけにはいかない」。店主の松竹笑美子さん(67)は営業する理由をそう語る。売り上げは半分ほどに落ち込んだが、「お客さんや従業員に感謝しながら踏ん張りたい」と意気込む。

 9日午後10時すぎ。静まり返ったコザの街に、弁当を求める客の姿が時折見られた。「毎日通っている」と語るキャバクラ従業員の男性(32)も常連の一人。「休憩中に食べる100円そばは、本当に体に染みる。開けていてくれてありがたい」と頬を緩めた。

 一丁目ストアーから160メートルほどにある、もう一つの老舗店「吉元弁当」。創業約60年の同店には、弁当だけでなく総菜などが手頃な価格で並ぶ。年中無休で、正月やお盆も営業している。

 昨年4月に緊急事態宣言が出された際、時短営業も検討したが、従業員の生活への影響も考慮し、営業を続けた。

 店主の妻で、40年以上働く吉元るみ子さん(59)は「大きな収入源だった市内のイベントが軒並みなくなり、正直言って苦しい」と吐露する。それでも「テークアウトだからこそ成り立っている部分もある。常連以外のお年寄りの客が増えたなど、コロナ禍でも変化はあった。これからもお客さん第一で続けていきたい」と力を込めた。