社説

社説[コロナ県民意識調査]孤立防ぐ心のケア急務

2021年2月17日 07:39

 沖縄県内で新型コロナウイルス感染が初確認されてから、1年が経過した。いまだ収束が見通せず、長期にわたる外出自粛生活で沖縄社会にも閉塞(へいそく)感が漂う。

 沖縄タイムス社と琉球朝日放送(QAB)が実施した県民意識調査は、こうした閉塞感を数字で示す結果となった。

 1047人の県民が回答した調査では、「暮らしで困ったこと」に「人との交流機会が減った」を挙げる人が67・3%で最も多かった。

 「家にこもりがちになるため、精神的につらい」「コミュニケーション不足で職場の雰囲気が悪化」「友達と会ってストレス発散ができない」「1人暮らしは孤独」といった悲痛な叫びが上がった。

 「元気だった母が、デイケアにも行かず、家に閉じこもり、認知症になりつつある」と、体に不調をきたす高齢者の姿も。

 他者とのふれ合いが、いかに私たちの生活に欠かせないものか、心身の健康を支えているか。皮肉にも、新型コロナによって再認識させられた。

 「死にたいと思ったことがある」と答えた人も14人いた。

 新型コロナで女性や若者の自殺が全国で増加している。一斉休校があった2020年、小中高校生の自殺者は統計のある1980年以降で最多となった。

 新型コロナによる長期間の自粛生活が孤立を生み、孤独感を強める人が増えている。国、地域を挙げた対策が急務だ。

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 県民調査では、新型コロナが家計を直撃している様子も見えた。

 生活の苦しさを「大いに感じる」「ある程度感じる」人は合わせて65・2%に上った。

 20・9%が20年の収入が前年に比べ2~4割減、6・1%が5~7割減、5・3%が8割以上減ったと答えた。

 「ホテル業、お客さまがいなく会社がつぶれそう」「収入が減って、子どもたちの学費の支払いが苦しい」。切羽詰まった声が聞こえた。

 新型コロナは立場の弱い労働者を直撃した。解雇や雇い止めで仕事を失った人のうち、非正規労働者が33・3%を占めた。

 必要な施策に「一律の現金給付」を挙げた人が多かったのは、目の前の生活に困っている人が多い現れだろう。

 経済不安は、うつなど心の病を誘発しかねない。

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 政府は孤独・孤立問題の担当に、坂本哲志地方創生担当相を任命した。

 英国はコロナ前の18年に「孤独担当相」を設置し、コロナ後には対策を強化している。

 県民調査で、経済と社会活動自粛のバランスを聞く問いに、7割が「感染対策優先」と答え、「経済優先」を大きく上回った。

 県民、国民は耐えている。政府は、日々の忍耐を支える心のケアに全力を尽くすべきだ。

 住民に最も近い市町村にもできることが多いはずだ。「つながり」をつくる工夫に取り組んでほしい。

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