石垣島と周辺離島を結ぶ船に乗ると、国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」を通る。波間から色とりどりのサンゴ礁や大小さまざまな魚が見え隠れし、その美しさに目を見張らされる

環境省が9~10月にかけて石西礁湖の35地点を調査した結果、97%で白化し、そのうち5割超がすでに死滅していることが分かった。7~8月の調査よりも白化が進み、死滅は約10倍と急激に増えていた

▼驚くべき数字だ。すべて回復するまで10年かかるとする専門家もいる。危機にひんしていると言えるだろう。台風が少なく海水温が高くなったこと、地球温暖化やエルニーニョ現象も指摘されている

▼サンゴ礁は沖縄の人々に恵みをもたらしてきた。世界最古の貝製釣り針が発見された南城市のサキタリ洞遺跡では、旧石器人が2万年にわたって住んでいたとされる。サンゴ礁の海は、無尽蔵だったに違いない

▼考古学的に貴重な発見が相次ぐのは、サンゴ礁が堆積した琉球石灰岩の役割が大きい。火山灰がたまってできた土壌の多い本土に比べ、骨や貝が溶けにくく、長く残りやすい特徴がある

▼やんばる、奄美、西表を一括して世界自然遺産登録へ向け、国が動きだしている。陸域だけでなく、海域も入る。今回の白化や死滅の影響は出ないのか。早期の回復へ向けた取り組みが求められる。(玉寄興也)