[女性クライシス]

断酒会の手帳には「私たちは酒に対して無力」「過去の過ちを認めます」と書かれている=本島南部

 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、多量飲酒の衝動に苦しむ女性たちがいる。一般的に男性より体が小さい女性はアルコール依存症になりやすく、外出自粛による孤独感や家事・育児の負担増によるストレスがリスクを高めている恐れがある。(学芸部・伊禮由紀子)

 沖縄本島南部の女性(39)は、コロナ禍の自粛期間で人との関わりが薄れ、うつ症状が悪化。再飲酒は踏みとどまっているが、自宅で晩酌する夫にイライラが募る。

 多量飲酒のきっかけは数年前の夫の起業だ。家庭内での家事・育児の負担がより女性に集中し、孤独感は深まった。「疲れても酒を飲みながら家事をすると、はかどった」。やり場のないストレスを酒で紛らわせ、多い日は350ミリリットルの缶ビール14本を空けた。

 病院に入退院後、依存症者の就労支援事業所で気持ちを共有する仲間ができ、飲酒欲求は和らいだ。ただ「断酒の継続には家族の理解や協力が欠かせない」と感じる。断酒を続け、もうすぐ1年。気持ちのせめぎ合いは続いている。

 県民健康・栄養調査によると、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している女性の割合は、県内で2011年の21・2%(男性24・5%)から、16年には29・1%(同27・1%)に増え、男性を上回る。背景には、女性の社会進出のほか、果汁入りチューハイなど女性の消費者向けの酒が増えたことも大きい。

 一方、女性は男性に比べて肝臓が小さく、アルコール分解が遅いため、依存症になりやすいとされる。例えば、アルコール度数7%のチューハイ1缶(350ミリリットル)だと、分解に男性がおおむね4時間、女性なら5時間かかる。

 依存症の問題を啓発する「おきなわASK」の大田房子代表は「女性の体は酒害を受けやすく、男性と同じように飲むのは危険」と注意を促す。「女性に偏りがちな家事や育児、介護などの負担によるストレスから、多量飲酒に陥るケースもあり、コロナ禍で状況が深刻化している恐れがある」と危機感を示した。