アルコール依存症の専門病棟がある糸満晴明病院(沖縄県糸満市)や依存症の回復施設「沖縄ダルク」(宜野湾市)には、新型コロナウイルス感染拡大に関わる相談が相次いでいる。「断酒会に行けず再飲酒した」「夫が失業し、朝から飲んでいる」といった内容だ。同院アルコール病棟の平田雄三医長は「孤立や孤独は飲酒を誘発する。誰にでも依存症のリスクがあり、飲酒以外のストレス解消の方法を持つことを意識してほしい」と呼び掛けている。

「孤立を防ぎ、家族に理解があることが依存症を脱するためには必要」と話す平田雄三医師=3日、糸満市・糸満晴明病院

 同院へのアルコール関連の電話相談は昨年4月以降、月60~120件ほど。新型コロナの影響で来院が減り、電話相談が多い傾向だ。沖縄ダルクには昨年170件の相談があり、過去5年間で最多を更新した。

 内容は「失業した娘が部屋に引きこもるようになった。アルコールの缶が部屋に散乱している」「ステイホームで家族や同居の恋人とトラブルになり酒量が増えた」など。数十年間断酒中の男性からも「再飲酒した」という相談があった。

 入院体制にも影響が出ている。同院では面会や患者の外出・外泊が禁止され、入院時にPCR検査を義務付けている。入院したがらない患者が少なくないため、例年より入院患者が減っているという。

 平田医長は自助グループのやむを得ない活動制限が再飲酒の要因になっていると指摘。「依存症から脱するには人とのつながりが欠かせない。新型コロナは依存症患者に危機的状況を生んでしまった」と訴える。(社会部・光墨祥吾)