米軍が資材置き場の使用エリアを広げるため、普天間飛行場内にある墓2基の撤去を日本側に求めていることが18日、分かった。沖縄防衛局は昨年7~11月、撤去に伴う補償に向けた物件調査を実施した。宜野湾市によると、防衛局は「米軍の運用上の所要。新たな施設整備ではない」との見解を示し、墓の所有者の承諾を得たと説明したという。

米軍普天間飛行場

米軍普天間飛行場内の古墓群

米軍普天間飛行場 米軍普天間飛行場内の古墓群

 防衛局によると、墓の撤去補償に向けた調査は初めて。昨年7月に「普天間飛行場墳墓の移転補償に係る補償物件調査業務」として一般競争入札を行い、那覇市内のコンサルタント会社が198万円で契約した。

 市によると、対象の墓2基があるのは飛行場北側。防衛局は本紙取材に具体的な場所を明らかにしていない。飛行場内には文化財としての古墓群が12カ所あるが、対象の墓が古墓群の一部かどうかは不明。

 文化財エリアを開発する場合は文化財保護法に基づき、防衛局から自治体へ届け出が必要。開発前に市が文化財調査を行う。市によると、墓の工事に届け出が必要かどうかは、工法や規模による。防衛局からの届け出は18日現在、ないという。

 撤去に伴う補償を所有者が受け取った後、墓を造り直すかどうかは所有者自身に委ねられている。

 基地内の墓に関して防衛局が届け出た例は過去1件。2015年、市道11号の整備に向けて基地内道路の移設が必要となり、所有者のいない「空き墓」を文化財調査後に取り壊した。

 普天間飛行場は清明祭の時期、事前に届け出た希望者に対し、基地内に立ち入って拝所や墓を拝むことを許可している。立ち入り先は宜野湾市大謝名、宜野湾、新城周辺の3地域が多いという。20年の届け出人数は445人だった。

■「裾野の広さ留意を」沖縄国際大准教授・宮城弘樹さん

 今回の墓が文化財に該当するか分からないが、文化財保護法に基づいて手順を踏めば撤去自体は問題ない。ただ、米軍の運用優先という印象は拭えない。

 撤去に関するコンセンサスの相手が墓の所有者だけでいいのか、丁寧に考えてほしい。沖縄では、門中墓であれば所有者以外も墓参りをするからだ。直接的なつながりがなくても、地域の名士をしのんで拝む場合もある。裾野の広さに留意すべきだ。

 基地内の文化財は、基地の施設整備や機能強化に伴って急速に失われている。開発前に文化財調査をして報告書にまとめれば、それでいいという話にはならない。市民が気づかないうちに、精神的なよりどころが消えたり、景観が変わったりする。

 フェンスの中はブラックボックスになりかねない。文化財や自然を日常的に市民が見学できる機会はほとんどない。例えば、失われる前の文化財などを学術団体や報道機関がモニタリングできる仕組みを作るべきだ。(談、考古学)