[飛んで!!10代 コロナ禍を越えて](16)重量挙げ

 女子重量挙げで2024年のパリ五輪出場を狙える逸材がいる。大宮中3年の比嘉成(15)は、女子55キロ級のスナッチで77キロの日本中学記録を保持。ばねを利かせてバーベルを持ち上げる独特のフォームから記録を更新し続けている。昨秋はパリ五輪の強化指定選手にも選ばれた。強豪ひしめく階級で高校、大学と頂点を狙い、「五輪で金」の夢を目指す。

 旧階級の男子91キロ級でジャークとトータルの日本記録を持つ父敏彦さん(49)の下、3歳から遊びの中で競技を始めた。「少しずつ重い物を持ち上げられるようになる。小さな喜びが楽しい」と笑顔を浮かべる。

 パワータイプではないが、開脚前屈で上半身が床に着く柔軟性と敏彦さんが考案したフォームが武器だ。通常、バーベルは床と垂直になるように引き上げるが、比嘉は体に引き付けた後、重心を落とした反動を利用して振り上げる。敏彦さんは「ハイリスク・ハイリターンだが力のない選手には有効。練習で数をこなし、失敗を少なくしている」と努力をたたえる。...