■女性技術者の連携へ

 ───女性技術者の連携、育成を目指す「teamけんせつ美ら小町」の立ち上げやユーチューブでの情報発信も積極的ですね。

 「もっと現場を知り、技術的な勉強もしたいと思っている女性たちが気軽に話せるネットワークがほしかった。建設業の魅力は、地域に貢献できるものづくりを担えること。実際にキャリアチェンジした人や情報を発信することで、働くチャンスを奪われている女性たちの架け橋になれれば」

ホテルの建設現場を見学する「teamけんさつ美ら小町」メンバー=2020年2月、那覇市内(提供)

 ───糸数社長にとって建設業の魅力は何ですか。

 「(SNSの)クラブハウス(音声を使った会員制交流サイト)で、最近ルームをオープンしました。『建設女子で現場を語ろう』というタイトルで。すごくいろんな人が入ってきてくれる。東京のゼネコンに入社して半年の女性で、夏ごろから現場にいくという若い方がいて、現場は楽しみだが不安もあるので、いろんな話を聞かせてほしいと。土木が専門の彼女に、土木の道に入った理由を聞くと、鬼怒川の堤防決壊があったとき、修復・防災に建設業がかかわっていることにかっこいいと思ったそうです。地域を守るためのかっこよさを感じたと。建設・土木の現場それぞれに魅力があるが、共通して言えるのは、地域のため、そこで暮らす人たちのためのインフラ・ものづくりを担うやりがいだと思う」

 ───建設業で女性が活躍するために必要なことは。

 「選択肢をつくりたい。がっつり現場で働きたい人もいれば、技術的な資料作成などの仕事をしたい人もいる。民間資格の建設ディレクターは、現場監督と二人三脚で現場を運営する有望な資格で、新たな職域として広めたい。業界ではICT導入も進んでいる。技術の取得は男女関係なく、これは強みになり得る」

 ───多様性のある働き方についてどう考えますか。

 「『私』が主語の『アイステートメント』の考え方が大事。ただ今は建設業で少数派の女性の意見をどう組み込むかの発信は必要で、それが属性を問わない『個』の働き方につながっていけば。無意識のバイアスがある社会で、『私』がどう働きたいかの強い意志を持つことも大切だと思います」

【プロフィル】いとかず・ゆきえ 1986年生まれ。横浜国立大卒。神奈川県の半導体関連企業に入社。2013年に父親が社長を担う丸元建設入社。社長室長、常務を経て、17年に3代目社長に就任。19年に建設業で働く女性技術者の育成を目指す「teamけんせつ美ら小町」を立ち上げた。

■インタビューを終えて

 沖縄タイムスの日曜経済面コラム「オフィスの窓から」を執筆してもらっています。毎回共感できる内容で、お会いしたいと思っていました。気負わず、学ぶことに貪欲。建設業で働く女性のための環境づくりを惜しまず、属性だけで働く機会が奪われる社会にNOを突き付ける。その実践力に勇気をもらいました。

 「美ら小町」では、あまりかわいくないというヘルメット用の日焼け防止具を自分たちで作ろうと話しているとか。機能性とファッション性を取り入れ、“建設女子”の活躍の場が増えることを期待します。

▼そのほかのインタビューは下記から

>>沖縄2人目の女性副知事「チャンスにNOと言うまい」東門美津子さん